鋳物辞典【鋳造作業法について】

第10章 鋳物砂


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第1節 鋳物砂の一般的概念

砂、粘土は岩石の物理的および科学的な風化によってその粗成が構成される。しばしば砂は粘土と密接に接触して発見される。この場合には砂や粗土の混合物は採掘されたままで鋳物砂として使用される。
つまり水とこの混合物を混合しさえすれば粘土は鋳型に必要に強度および塑性を発揮する。このような砂を山砂と称して珪砂と区別する。
砂は自然に洗われて粘土分を含んでいないことが多い。また鋳物工場で珪砂を型砂とするには粘土や他の希望する物質を添加し、混練して調整してやらねばならない。これらの型砂は、合成砂とよばれている。この場合、合成という言葉はいささか正確さを欠いている。なぜならそれは、合成された砂ではなくて、砂および粘土の混合物にすぎないからである。しかしこの言葉は今日まで工場の通用語として一般化している。
天然および合成砂には特異な差がある。天然砂は採掘されたままで使用され、相当量の有機物と7〜20%の粘土を含有しており、十分な強度を発揮するためには6〜8%の水分が必要である。天然砂は合成砂より耐火性が低いとされている。その理由は不純物の存在によるものであるとされている。それゆえ天然砂は、主要用途として非鉄金属および鋳鉄の鋳造に使用されている。
合成砂は洗われ、篩われて等級別にされ、有機物あるいは粘土は含まれない。合成砂が3〜5%のベントナイト粘土によって混合される場合には、水分は3〜4%以上を必要とせずに良好な鋳型性質を発揮するので、通気度は比較的高く、かつ成分の制御は簡単である。合成砂は天然砂に比較して通気度が大きく、かつ水分含有量が少量でよいために、がんらい鋳鋼工場に多く使用されてきた。ごく最近では合成砂は砂の性質を精密に制御できるために他の金属の鋳造に広く使用されるようになった。
砂、粘土の混合物は、生あるいは乾燥の状態で使用される。生型はその中で鋳鉄が閉じ込められ、いくぶんか乾燥がおこる以前に、鋳型方を作った後、ただちに鋳込まれるものである。こま状態において砂の中には粘土の型によって4〜8%の湿分を有する。生型はいかなる他の型よりも多く使用されている。その理由は経済的であるからである。すなわちそのままで使用されるから、水分を追い出すのに時間の損失がなく、費用も要らない。たいていの仕事に対してこの方法で間に合う。水分は精密に制御される事ができるので鋳型、金属間の表面における過剰な蒸気を防止するに十分である。通気度は、十分に高く保てるために蒸気および他のガスの追い出しによっておこる吹かれが防止できる。
乾燥型においては、自由水分は炉中過熱によって完全に取りのぞかれる。一般乾燥によって固く、強い鋳型が得られ、鋳型中のガスはほとんど存在しない。それゆえに、乾燥型は生型に比較して、より寸法的に正確な鋳物を作ることができるし、生型より破壊、亀裂およびガスの吹かれについての懸念が少ない。乾燥型の特長のうちに表面乾燥および自然乾燥がある。表面乾燥型ではただ単に表面水分に鋳型空間へ簡単に送られる温かい空気あるいはトーチによって蒸発させられる。自然乾燥型は鋳込前に長時間空気中に放置される型である。よってかかる状態を満足するために項目別に順をおって鋳型砂としての一般的条件を説明する。

  1. 造型性
    鋳物砂は、これに手動および機械的エネルギーを与えて模型の周囲に流動せしめる時、模型を取りはずしたのちこれと殆んど同一形状の空所を造り得る能力を持つ。この性質を造型性という。鋳物砂が優れた造型性を持つならば、特別の配分物を入れずに、造型はある程度行い得る。造型性を改良するために配合物を混用する。この造型性は鋳物砂の粘結性、抗力性、流動性、水分等によって非常に影響を受ける。
  2. 通気性
    鋳型内の水分、その他ガス発生物質は、注湯と同時に多量のガス体を発生し、鋳物の巣、ガス吹かれなどの不良の原因となる。このガス体を除去し得る能力を鋳物砂の通気性という。この鋳物砂の粒度、粒形、粘結剤、水分量、その他搗固め状態などによることはいうまでもない。造型上は粘結剤をなるべく少なくし、水分量を適当にする必要がある。
  3. 効力性(強度)
    鋳型が変形、破損、洗われなどに抵抗するためには抗力性が必要である。一般に抗力性を大にすると通気性が悪くなり、また、歪み、亀裂の原因となる。したがって鋳物砂の可縮性も当然必要となる。
  4. 耐熱性
    耐熱性の大きな砂は焼着を起し難い。もちろん焼着は、さされにより促進されるが普通の状態では、耐熱性は主として砂の珪酸分の大なるもの程、大である。また、砂粒は丸みを帯びたもの程よい。手込の場合はやや結合剤を多くし、機械込の場合はなるべく結合剤を減じ、黒鉛、石炭粉などを配合している。鋳鉄、鋳鋼の場合には適当の水分量は耐熱性に好影響を与える。
  5. 復用性
    鋳物砂は反復使用しても、その粒度構成、粒型、粘土分、科学成分など一定で変化しない方が望ましい。特に造型機による量産の場合には大切となるため結合剤はなるべく良質のものを少量使用することがよい。
  6. 流動性
    鋳物砂に手動或は機械的エネルギーを与え造型する場合、鋳物砂は最少のエネルギーで模型周囲に充填される必要がある。このためには鋳物砂の粒度構成、粒形が適当であり、水分、粘結剤はなるべく少ない方が良く、流動性が良い程、鋳型硬度はたかくかつ均一なものが得られる。したがって流動性はある意味における造型性を表わすものと考えてよい。
  7. 均一性
    鋳物砂は、基本的には砂粒表面にゲル状の粒土微粒子を被覆したものであるが、ものその組織が不均一であるならば、前途の諸性質は当然局部的に変動し、欠陥の原因を起し易い。この性質は鋳物工場において最も軽視され易い問題であるが重要なことである。
  8. ガス発生
    注湯時鋳型より発生するガスの量および発生速度はかなり問題である。特に有機系粘結剤の配合には重要な因子がある。
  9. 高温強度
    鋳物砂における高温強度の管理は、近時その重要性が認識された。研究結果によれば、必要な強度、鋳込後数秒後におけるそれであって、溶湯の凝固後のそれはむしろ少ない方が良い。そして木粉、石粉、石炭粉などは高温強度の不足に基づく欠陥に対して良い効果をもたらすことが確かめられている。


第2節 鋳物砂の醜類

鋳型に使用される。いわゆる砂型用鋳物砂は、石英粒の集合である珪砂を主成分とする山砂および珪砂が主体となっているが、ごくわずかジルコンサンド(ZrSiO4の示成式)やヅンカンラン岩を破砕して作ったオリビン・サンド、あるいは炭素粒のカーボン・サンドなどがそれぞれ目的をもって、各種砂型鋳物に型砂として使用されている。
珪砂を主成分とするわが国産出の鋳物砂を、一般的(鋳物業界)に用いられる用語に従って分類すると表7.2.1のようになる。
鋳物砂を山砂と珪砂に大別してあるが、これは鋳物砂の品位で分類した鋳型用砂の日本工業規格、鋳型珪砂JIS・G5901、および鋳型用山砂JIS・G5902によったもので、これはJISで規定された粘土分を測定して、その含有率2%を超すものを山砂とし、それ以下のものを珪砂と定められている。
また天然珪砂と人工珪砂の別が規定されているが、これは人工的に粉砕加工が加えられたものは、全て人造珪砂と定められている。

表7.2.1鋳物砂の分類
鋳物砂 山砂・・・野間砂、森本砂、河内砂、河口砂など(粘土含有率2%以上)
珪砂(粘土分2%以下) 天然珪砂
(粉砕加工をしない)
川砂・・・荒川砂、木曽川砂、遠賀川砂など
浜砂・・・知多砂、小名浜砂、寒川砂、豊浦砂など
蛙目珪砂・・・瀬戸、土岐津、小高、淡路、筑豊(水洗いのみ)
風化珪砂・・・瀬戸、土岐津、(篠岡珪砂)など(ほぐして水洗い)
人工珪砂 コニカル珪砂・・・瀬戸、土岐津など(コニカルミルで加工)
珪石珪砂・・・三河、筑摩、益田など(珪石を乾式加工)
風化珪砂・・・筑摩、土岐津など(軟珪石を乾式で加工)

したがって蛙目珪砂をコニカルミルで破砕して造られたコニカル珪砂は人造珪砂に属するが、単に水洗のみ行って粘土分を除去して破砕は行われず、篩分けて商品とした蛙目珪砂や、風化珪砂の一部は天然珪砂に分類される。
主粒度の大きさから3つに大別されることがある。35メッシュ程度のものを新粒、48、65、100メッシュのものを中粒、それ以下を細粒砂と称することがある。
また山砂で粘土分20%以上含有するものを粘土分補給砂、一方粘土分が10%以下で、通気性を与えるために使用するとが半合成しなければ使用できないものを処理砂などとよんでいる。

  1. 山砂
    山砂は珪砂と粘土鉱物との混在したもので、一般にはそのまま、あるいはわずかに粘結剤を調節する程度で型砂として使用せられるものである。
    したがって、珪砂粒の粒土分布はもちろん重要な因子であるが、とくに含有粘土の量およびその生質が型砂としての耐火性、復用性などの点で注意すべき事項となる。
    産地には数種の砂層があって、それぞれ性状が異なっている
    わが国最大の野間砂は愛知県知多半島にあって、約15の砂層が散在しているが商品名としては約20種類にも達する鋳物砂が発掘され出荷されている。
    各地の山砂の鉱物組織については、砂粒と粘土分とに分けて、粘土鉱物としてカオリナイト(Alx(Si2O5)(OH)4)モンモリロナイト(CAl1.67Mg0.33)SiO10(OH)10)を含み、微砂粒の長石類が比較的少なく、砂粒は石英を主体として、長石や雲母などの少ない山砂は良質の山砂として広く使用されている。
    良質の山砂は採掘され、そのままあるいはわずかの処理を加えるだけで使用する事ができ、安価であり、鋳型としての性質もすぐれたものをもっている。
    均質で多量ある山砂はその利用価値がきわめて大きいのである。

    表7.2.2主要山砂の性質
    種別 粘土分
    (%)
    化学分析結果 粒土分布(μ)(%)
    SiO2, Al2O3 Fe2O3 強熱減量 590 420 297 210 149 105 74 53 バン
    野間奥田1号 25.3 77.02 17.65 2.35 2.94 0.2 0.2 1.5 4.9 17.9 13.0 26.4 12.4 23.2
    〃2号 16.1 78.50 18.19 1.41 2.29 0.2 0.2 1.5 0.5 28.4 31.2 19.3 8.5 10.2
    志摩1号 11.0 87.40 10.86 2.38 2.35 0.6 0.6 0.4 1.4 14.4 66.0 2.4 0.6 2.0
    〃2号 15.6 75.14 15.53 6.60 2.93 0.3 0.8 1.2 3.0 25.2 33.0 16.4 2.5 3.1
    津2号 12.9 87.10 6.15 4.4 3.90 0.3 0.3 0.2 8.5 31.5 10.5 32.9 15.8
    川口 16.4 78.38 15.30 4.52 2.53 0.2 0.5 1.3 4.4 28.3 32.6 4.7 9.0 12.5
    神奈川 11.0 64.16 17.38 6.32 4.99 0.1 0.3 0.9 5.8 26.3 36.0 22.9 3.4 4.3
    新潟 4.5 69.31 10.43 6.54 8.97 0.3 0.5 1.7 7.2 37.4 38.2 3.8 2.0 4.3
    八戸 8.2 62.30 17.01 11.16 5.58 0.2 0.7 2.2 4.8 22.8 49.0 4.2 3.8 3.8
    静岡 6.0 73.20 18.58 1.7 3.40 0.5 0.5 1.0 0.5 7.5 61.5 13.0 4.5 5.5
    河内 20.4 70.50 18.56 3.84 6.34 0.2 0.2 0.2 1.7 0.2 0.2 5.8 50.8
    10.4 74.39 16.63 2.88 5.90 1.4 4.9 10.3 12.5 26.1 1.6 14.1 15.7 10.9
    松江黒田 10.4 79.78 11.47 2.59 0.56 0.4 1.2 6.4 54.6 18.8 2.8 1.9 3.6
    小豆島 13.6 74.60 15.00 0.50 0.70 1.2 3.6 7.4 8.2 23.7 20.0 7.1 5.1 9.8
    折尾 10.2 78.96 13.00 2.30 4.61 0.2 1.0 3.3 21.2 37.6 7.9 9.1 9.6
    7.8 83.88 11.06 1.28 2.25 0.8 2.5 12.9 22.8 28.0 13.3 4.2 3.0 6.2

  2. 珪砂
    JISによれば、鋳物用珪砂は粘土分2%以下で、SiO2の含有量が95%以上と決められている。しかし、現用の珪砂の中にはこれらの規格からはずれたものも使用され、その種類も多様である。珪砂はまた天然珪砂と人造珪砂に大別され、JISでは、これをつぎのように定義している。
    すなわち、天然珪砂とは天然の珪砂粒およびこれを水洗いとか篩い分けなどの加工したものをいう。
    人工珪砂とは、大きい粒子の天然珪砂や珪岩などを破砕加工して製造したものをいう。
    この珪砂の定義にしたがって、現用珪砂を分類すると、天然珪砂には蛙目珪砂、浜砂、川砂などがあり、人造珪砂には花崗岩などの変成岩を破砕、選別したものがある。
    人工珪砂の産地では、愛知の三河珪砂と長野の筑摩珪砂が有名である。
    珪砂は愛知県、長野県山のものが概して純度、粒形ともに優秀であるが、他地区のものはSiO2純度は十分に高いが扁角型の粒形となり不十分な点が多い、主な珪砂の性質を表7.2.3に示す。

    表7.2.3主な珪砂の性質
    種類 粘土分
    (%)
    化学分析結果 粒土分布(μ)(%)
    SiO2 Al2O3 Fe2O3 強熱減量 10 14 20 28 35 48 65 100 150 200 270 バン
    寒川2   89.10 7.81 1.10 0.84 16 40.6 37 5                
    〃3   90.14 7.75 0.50 0.76     13 37 37 10            
    知多1   87.08 7.19 0.63 0.52         0.1 0.3 6.2 56.4 36.2 0.2 0.2 0.4
    〃2   90.66 4.72 0.48 0.40       10.7 31.6 48.7 5.7 1.7 0.4 0.2   0.1
    内海 1.1 88.54 88.54 0.64 0.90         0.8 3.4 19.4 54.4 15.5 5.0   0.4
    小名浜 0.1 76.26 15.59 3.02 1.28         0.1 0.1 2.1 54.0 43.0 0.4 0.2 0.1
    瀬戸4 0.3 99.35 0.20 0.30         41.2 45.5 5.1 1.6 1.4 0.5 0.7 0.4 0.4
    〃5 0.3 97.86 1.21 0.30         0.6 29.0 35.9 17.2 11.4 3.3 1.6 0.7 0.2
    〃6 0.5 97.77 1.22 0.45           1.8 11.5 13.0 36.6 21.9 20.0 5.2 3.0
    土岐津6 0.4 94.26 2.24 1.04         4.8 17.7 28.6 23.6 20.0 4.5 2.0 0.8 0.8
    三河6 1.3 98.34 0.13 0.88 0.24       1.0 33.4 43.2 19.2 0.6 0.4     1.0

  3. 粘土
    一般に粘土は地殻の最表部に産出し、(1)地層中に地層面とほぼ平行な層として存在する場合、(2)種々の岩石中に不規則に塊状となって存在する場合、(3)地表面を覆う土壌の成分として存在する場合とがある。
    (1)および(3)は母岩の風化作用によってできた粘土がこれに属し、(2)は火山性の熱水、熱気作用によって生じた粘土にみれられるものである。
    (1)は珪砂と同じように、母岩が風化作用をうけて、これが流水により運ばれ、珪砂と分類せられ、粘土だけが沈積したもっとも一般的な成因によるもので、いわゆる二次粘土である。蛙目粘土や木節粘土がこれに属している。 (2)に属する粘土には、いわゆるベントナイトがある。石英租面岩、凝灰岩の地域で熱気、熱水作用により、岩石が分解してモンモリロナイトを生じ、引続いて地下水、地表水の作用で粘土化が進行したものと考えられている。
    (3)に属するものには前項に述べた山砂がこれにあたる。すなわち、粘土の量より砂粒分のほうが多いことが特徴である。


第3節 天然砂と合成砂

  1. 天然砂の利点
    1. 砂処理設備が完備していなくてもよい
    2. 粘土分とか微粒分が多いので水分の広い範囲で使える
    3. 型の補修が容易である
    4. 粒度分布が広い(すなわれなどの欠陥を起しにくい)
    5. 型の膨張が少ない(SiO2の純度が低いから、合成砂の時のような特殊な添加物を必要としない
    6. 水分の蒸発がすくない
    7. 型の塗型が容易である
    8. 木型や砂型同志(肌砂と裏砂)のなじみがよい
    9. 安価である
  2. 合成砂の利点
    1. 砂粒子と粘結剤、添加剤が自由に選べる
    2. 水分が少なくとも使用できる
    3. 天然砂と同一の通気度を得るには細かい砂でよい
    4. 管理がしやすい(人為的に配合できる)


第4節 原料砂の選定

天然砂または合成砂にせよ、これは型砂として目的に応ずる性質を具備するということが、もっとも重視されるが、型砂としての品質を確保するために、これらの性質は出来るだけ計数的に取扱われるようになっている。

  1. 天然砂
    天然砂を選ぶ場合には、造ろうとする鋳物製品の大きさに応じて、粒の大小と、その分布状態および含有する粘土の量と性質が大きな基準となる。粘土分が15〜18%あれば、そのまま使用することにより、型砂としての強度、通気度が一般と上昇するのが一般であるから、新砂として古砂に補給する場合はもちろん、単味で用いる場合、鋳鉄鋳物では、その大きさによってたいがい表7.4.1のような使用がなされている。
    天然砂には、15〜18%の粘土が含んでいて、一般に混練せず、生型の圧縮強さ300〜400gr/cm2程度のものが、これを混練すると水分7%で450〜600gr/cm2になるものが多く、これがそのまま使用されている。
    補給用に20〜30%が新砂として用いられているが、古砂と混練して上記程度の性質を維持するのが常識とされている。

    表7.4.1天然砂の代表的な性質(鋳鉄鋳物の場合)
    鋳物の大きさ 通気度 粒度指数
    小物 15〜40 100〜180
    中物 30〜80 80〜120
    大物 70〜125 50〜80

  2. 珪砂
    合成砂の場合の原料珪砂の選定はいささき天然砂の場合と異なってくる。
    すなわち珪砂の場合、粒度分布の外に粒形と不純物の種類と量が大きな関心事となる。
    各号数の原料砂を配合計算によって求めることから合成砂の調節が始まる。合成砂の原料となる珪砂の性質は合成砂の強度、通気度など、鋳型の諸性質に大きな関係が現れてくるもので、ことに添加剤としての粘結剤の量を左右する粒型については注意が肝要である。使用度の多い人造珪砂は、その原鉱石の選択と製造法に科学的、工学的配慮が乏しいから、粒形が変わりやすく、特に留意せねばならない。
    Dietertの発表によると、平均粒度50メッシュの珪砂で、丸形と角形とでは、その性質が表7.4.2に示すような差異のあることが示されている。

    表7.4.2粒形差による鋳型性質の差異
    粒形 表面積
    (m2/m2)
    平均
    通気度
    粘土の%添加水分5% 油:砂=1:56
    生型
    通気度
    乾燥型
    通気度
    生型
    圧縮強さ
    乾燥型
    圧縮強さ
    生型
    引張強さ
    油砂型
    張り強さ
    丸形 10.000 200 150 170 9.8 29.9 16.0 268
    角形 15.000 160 120 140 11.3 39.0 16.5 185

    珪砂のSiO2分の高いことは、耐火性が増し、粘着などの点から鋳物としては本質的には望ましいことである。
    しかし一方型砂の高温性質の面から見ると好ましくない面もあって、その矛盾的対策を樹立しなければならない。図7.4.1は各種砂の熱膨張を示すもので、珪砂が他のいずれのものより多いことを示している。
    木粉とかピッチ粉あるいはでんぷん等が添加されこれに基づく鋳型の欠陥防止がなされているのであるが、その具体策は、珪砂のSiO2純度、粒度、粒形などによって適宜決定されねばならない。
    浜砂や河砂には磁鉄鉱が多いので、鋳型とし注湯すると加熱されて急激に膨張し鋳型からとび出してさしこみなど欠陥の原因となる。そのため塗型を厚くするような処置がとられているほどで、川砂の大きな欠点とされている。チャート質の珪砂や火山針は同じの成分であるが、耐火性に弱いのでその含有量に注意せねばならない。
    内海珪砂(浜砂)には48メッシュ程度の火山針が散見され、チャート質の砂粒は多くの地区の浜砂によく見かけられる。

    一般に鋳物砂の化学成分は珪酸(SiO2)を主体として、これにアルミナ(Al 2O3)、酸化鉄(Fe2O3)、石灰(CaO)、マグネシア(MgO)を含み、さらに微量のアルカリ(NaO、K2O)や強熱減量によって組成されている。
    これを鉱物学的に分類すると、石英、長石、粘土よりなるのであって、化学組成との関係は図7.4.2のようになる。
    図7.4.1各種砂の熱膨張
    図7.4.2

    石英が耐火度も高く強度も大で安定なものであるのに対し、長石は高熱や外力によって容易に微粉化しやすいものであるので、型砂としては長石粒が石炭粒の珪砂に混在することは好ましくない結果を与えるために嫌われている。
    また浜砂中にはNacl分の含有率に多少の増減があり、0.03%以上含有すると、油砂型、シェルモードの場合、不都合な結果を生ずることもあるので注意が肝要である。

第5節 型砂の性質

  1. 水分の影響
    砂型の粘着剤には粘土とベントナイトが粘着剤として用いられることが多い。
    油中子とか、CO2法、シェルモールド法の珪砂には水分は含有しないほうがよいが、粘土やベントナイト、あるいはセメントなどが粘着剤として用いられる砂型には水分が添加される。
    型砂中に含有される水分の含有量は、粒度以外の型砂の性質にすべて影響を及ぼすから、水分の調節は型砂調製のうえにまことに重要な因子である。Dretertの資料により、粒度指数63の珪砂に各種粘土およびベントナイト量を変え、水分量を変化させた場合の湿態圧縮強さと通気度を調査した結果を図7.5.1〜4に示した。
    図7.5.1
    湿態強度−粘土の種類水分量曲線
    図7.5.2
    乾態圧縮強−粘土の種類−水分量曲線
    図7.5.3
    乾態通気度−粘土の種類−水分量曲線
    図7.5.4
    湿態通気度−水分量曲線

    一般に合成砂では3〜5%天然砂では6.5〜9%の範囲の水分量のものが用いられているが、この水分含有量は試験結果による最適値より少し多いところが実用的とされている。
    これは作業性の問題を考慮に入れてのことである。
    また乾燥型でも、水の多いほうが、乾燥後の強度が出やすいので少し多い8〜10%程度のものが用いられるのが一般的である。
    型砂の流動性は型込に影響があるが、水分量にはあまり左右されない。
    鋳型中の水分は、注湯によって一部ガス化するのがそのさいの容積変化は約1,600倍である。
    鋳型内で発生するガスは、この水分によるもののほか、石炭粉とか中子油、樹脂あるいはその他有機材によるものもあるが、なんといっても、水分からのものが大半を占める。鋳型に通気性が最大要素の一つとされるのもこのためで不良発生の大きな役割をする添加水分は十分に重視されねばならない。

  2. 粒度配合と粒形
    石垣を造るにおいてもあるいはコンクリートの施行にしても、使用する砂や石野粒の大小とその混ざり具合、あるいは粒の形状は重大な要素である。
    型砂の良否もおのおのの場合、目的に応じた粒度配合と粒形の鋳物砂を選ぶことが大切である。型砂の粒度の大体の大きさは粒度指数でわかるが、鋳型の性質は粒度指数だけでは理解しがたい。粒度分布を見て経験的に推察する必要がある。
    美しい鋳肌の鋳物を得たい時は、できるだけ細粒の砂を選ぶべきである。しかし細粒になるほど表面積が大となり、粘結剤や水分も高くなるので、耐熱性や通気度さらには流動性も低下する。
    一般的には砂粒が細かくなれは成型強度は大きくなるのであるが、あまり細かくなって微粉程度になると、低水分では成型困難となる。
    つき固め性と粒度分布および粒形については、一般に同じようにつき固めた場合、単一粒度のもののほうがつき固めやすく、丸型の砂より角ばったもののほうが強度が強くなる。しかし丸形の砂の方が流動性があって、鋳型全体の強度は角型のものより均一になる。
    いっぽう単一粒度に近い型砂は、流動性はよいが、熱的衝撃に対して弱いことが認められている。たとえば平面部の多い鋳物を造ろうとし注湯した場合、込めやすい、流動性のあるピークの単一な型砂を用いると、湯温による乾燥で鋳型表面が浮き上がり、湯の流れに沿って流れ、これが抵抗する力の所まで移動し、鋳肌に脈状しぼられを発生する傾向がある。
    こうした場合には大小取り混ぜに粒度分布の型砂が適合している。
    また凸凹の多い鋳物を造る時には、単一ピークで流動性がよく、木型のすみずみまで固まる型砂を用意すべきである。
    合成砂の配合では一般に3ピークまたは4ピークの型砂にするのが常識化されている。
  3. 型砂と粘土
    図7.5.5粘土および砂粒の配列

    型砂中の粘土は鋳型としての造型強度をもたせるものであるが、流動性をよくし、型のすみずみまで型砂が充填されるため、水分量を滅ずるためにも少量の粘土分のほうが好都合である。また型砂の老化を速めないために、型砂中の粘土はできるだけ良質のものが少量添加されるべきである。
    合成砂のほとんどに、粘結剤としてベントナイトが用いられている。湿態強度をだすには群馬県、新潟県産のNaの多いウエスタン・ベントナイトが一般に用いられている、熱間においてとくに強度を要する場合は山形県産のCaの多いサウザン系のベントナイトがよいとされている。しかしベントナイトの欠点はボロツキやすく、造型性が悪く、復用性、耐火度が低いなどの点があるとされている。強度のでることは、従来の山粘土に比較して大きいので、少量添加でことたりる点は有利である。又有機質の添加剤でこれらの欠点を補うことも出来る。
    粘土分の増量は、水分さえ適当であれば鋳型強度を増加させるが、通気度や流動性は低下する。
    鋳型の水分を低下させたい時は、粘土分を滅ずることを心がけねばならないから、強度な粘土の選定が大切である。
  4. 型砂の老化
    型砂が鋳型となり、注湯により高熱にさらされると、砂粒子はこわれて微粉となり(これは強く押しつぶすと微粉となる)、粘土は粘結性を失い、通気性を害し、型砂としての強度を発揮することができなくなる。かような現象を型砂の老化現象という。
    型砂の主成分であるSiOは石英で、熱影響のないものはα石英である。これが575゚Cに加熱されると、急に膨張して比重は2.65から2.32となり、その体積は1,250゚C以上ではわずかの外力でこわれやすくなり微粉となる。
    粘土は100゚Cを越すと付着水がとれ、カオリナン系の木節粘土のようなものは520゚C〜600゚Cで、モンモリナイト系のベントナイトは560〜870゚Cで結晶水を失ってしまう。結合水を失うと粘結性も失われ、単なる微粉として型砂中に残るので、通気性などはもちろん熱的性質も劣ってくる。
    型砂が繰返し使用されるためには、このような老化した成分の混入を極力避ける措置が取られねばならず、また型砂が老化し、性質が変化したならば新砂が補給され型砂の性質の保持が行われねばならない。

    図7.5.7粘土の加熱重量変化曲線
    図7.5.8各加熱温度による急激膨張曲線

  5. 高温性質
    砂型の熱膨張
    砂型の主成分である珪砂が熱を受けて575゚Cになりα石英からβ石英に変態すると熱膨張があり、体積で約10%増加することを説明した。
    この熱膨張は、珪砂にくらべて浜砂、山砂に減し、オリビン砂やジルコン砂ではきわめて小さくなる。
    珪砂ではSiO2の純度の高いものほど熱膨張が大きいことも認められている。
    鋳型が熱影響を受けるのは注湯による急激な作用であるから急激な加熱を行ってみると、その加熱スピードに応じて膨張量も大となり最高値に達する時間も短くなる。
    鋳型の熱膨張の量とか発生の様子は鋳物の不良の原因(すくわれ系統の鋳きずや寸法精度など)に大きな影響を与えるものである。そのほか鋳型を強くつき固めたり、砂の粒度分布を単一化したり、添加剤の量、質によっても熱膨張は左右される。

第6節 鋳物砂の調整

決められた性質の型砂を得るためには、材料(山砂、珪砂、粘着剤、添加剤)を用意し、配合し、砂処理機によって調合処理されて、造られねばならない。表7.6.1〜3に鋳物砂の調製を記す。

表7.6.1鋳鉄用肌砂の実例(乾燥型)
用途 ケイ
砂%
山砂
古砂
粘土
ベント
ナイト%
石灰
粉%
ピッチ粉
水分
通気度(cc/min) 圧縮強さ(kg/cm2)
シリンダー
カバー
84     14.5     1.5   350-400 600-800 0.7-0.8 >13.0
工作機械 100           9 250 430 0.45 4.5
フライホイール 60   40 10-15       8 100-200 2200-400 0.55-0.75 2-3.5
大型歯車 20   80 4-5       7.8 150-200 150-200 0.7 1.5-2.1
タービン
ケーシング
80   20 15       7 350 500 0.56 2.1
船舶用機関 32   68 9.1 3.1     6-7 400-600 700-100 0.6-0.8 15-20
インゴットケース 79   5 7 1     8 630 760 0.56 10

表7.6.2鋳鉄用肌砂の実例(生型)
用途 砂% 粘結剤 添加剤% 性質
ケイ砂 山砂 古砂 粘土 ベントナイト 石炭粉 黒鉛 ピッチ 穀粉 水分 通気度
(cc/min)
圧縮強さ
(kg/cm2)
ラジエータ-   14.5 85.5     1.5       6.8 120-170 0.35-0.5
ミシン   60 40       5     7 30 0.56
紡織機大   25 75       3     8 28 0.76
〃小   15 85       2     7.8 30 0.45
〃歯車   30 70       5     8.4 24 0.75
バルブ 50-60 8-10 20-25   4-5.5 1.5-2.5       5-6 80-90 0.6-0.8
シリンダーブロック 48 32 20             5.1 110 0.46
60 40     0.6-1.0       0.6-10 5.5 90 0.53
49 14 37   3.7 1.8       4.8 127 0.72
鋳鉄管 15-20 15-20 60-70   2.0-3.5 1.5-2.0       5-6 70-90 0.4-0.5

表7.6.3
  肉厚mm 造型法 使用ミル 空練min 本練min ねかしh 水分% 通気度
cc/min2
圧縮強さ
kg/cm2
1件機械 25-40 牛込 スピードマラ 1/2 1 - 5.5-
6.5
350-500
600-800
0.5-0.6
7-8.5
12-65 手込 インプソンミル 11/2 6 1-12 6.5-
7.0
500-600
700-850
0.4-0.5
8-12
エンジン 6 モールディング スピードマラ 0.2 1 10 - -
-
-
-
25 手込 スピードマラ 0.58 1.25 - 6.5-
8.0
250-400
43-870
1.18-1.28
13-17
ポンプ 18 手込 シンプソンミル 2 10 - 10 100-200 0.8-12
20 モールディング スピードマラ 2/3 11/3 - 6 70 0.42
自動車 5 モールディング シンプソンミル 2 13 2 4 150 0.99
20 モールディング シンプソンミル 2 10 1 4 130 0.5
一般
産業機械
25 手込 シンプソンミル 1 10 2-3 5-7 130 0.8
12 モールディング スピードマラ 1 1.5 1/4 7.0-
7.4
50-85 0.56-0.65

  粒度分布および粘土分メッシュ% 配合砂 粘結剤 添加剤砂を100として
10 14 20 28 35 48 65 100 150 200 270 粘土
古砂 ケイ
山砂 キブシ ベント
ナイト
石炭
コークス
ピッチ
でん
 
1件
機械
4.4 21.4 29.0 20.7 9.0 5.5           18.5 85 15 - 3 - - - - -  
7.0 22.5 26.8 15.0 6.5 2.6           15.4 90 10 - 6 1 - - - -  
エン
ジン
- - - 0.8 2.2 13.4 50.4 27.0 4.0     9.5 70-
80
20-
30
- 7 - 1.5 - - 0.7  
4.4 16.2 17.4 20.2 20.2 7.6 6.5 2.0       - 60 40 - 16 - - 6 - -  
ポン
3.5 11 23 27 20 4 65<11.5         16.0 88 12 - 4 - - 1.2 - -  
      0.6 1.8 5.8 28.8 59.8 2.1 0.2   - 95 5 - - 2 2 - - - オージン2
糖密0.5
生肌
自動
      1.0 26 14.6 32.2 30.0 3.2 2.8   12.8 90 10 - - 3 - - 1 -   生肌
          0.9 10.9 70.3 16.9 0.9   - 30 70 - - 5 - - 1.5 -   生肌
一般
産業
機械
      14 23 14 10 5 3 4     80 20 - 2 3 - - 2 -  
          2.2 26 26 13.5 15.5 29.4 10 85 - 15 2.2 - - - 0.25 1.05   生肌
  1. 型砂を種類によって分けると次の3通りになる
    1. 肌砂
    2. 裏砂(床砂)
    3. 中子砂

    肌砂とは溶湯と接する部分に直接当る型砂を特別に調整したものをさし、裏砂とは肌砂をバックアップするために用いる型砂をいう。
    肌砂とは溶湯と接するすべての部分に用いられないで、せき前とか、溶湯のはげしく当る部分とか、肉厚変動のはげしい部分に局限して用いられるものもある。生産性を上げるためのマスプロでは使用する型砂をすべて処理して、肌砂も裏砂も使用しない一本化した型砂を使用している工場も多く、この傾向は年次に強まっている。
    鋳物製品の出来具合は肌砂の性質に一番大きく影響されるもので、鋳物に発生する多くの欠陥や鋳肌とか寸法精度、さらには後処理の難易が肌砂の適否に左右されるとされている。
    肌砂と裏砂との関係を無視し、勝手に別個のものとし使用する事は危険であり、避けねばならない。いかに優秀な肌砂が用意されても裏砂の性質が適していなかったり、でたらめに使用されているような鋳型では不良の発生が多いからである。
    たとえば裏砂のほうが肌砂より通気度が低い場合は、せっかく肌砂で発生したガスが裏砂へ充満しついでそれが逆に肌砂を通じて溶湯のほうへ発散し、鋳巣、吹かれ、さしこみなどの欠陥を発生することになる。
    したがって肌砂と裏砂との間にある間連が必要であると共に、両者はおなじみ性の強いものでなければならない。

  2. 天然砂の調整
    型砂はできるだけ単純で、天然に産出するものでそれが満たされるならば、それをそのまま使用すればよい。その場合、一応の節分けを手篩で行って木の根や石ころを除き、スコップで攪拌しただけで用いることもある。なおサンドミルで混練し、サンドブレンダーなどで分解してやると、型砂としての性質が向上するので、この効果を活用してやることはいっそう有利である。
  3. 合成砂の調整
    高い強度や通気度あるいは高温性質など型砂に特殊な性質が要求される場合は、合成砂を調製せねばならない。合成砂は強力な粘結剤を使用するので、少ない粘結剤と水分で強力な鋳型を造ることができる。
    したがってピンホールや鋳巣のような内部欠陥を生ずることが減少し、寸法精度が向上する。
    任意な型砂が得られるから生産性も高める手段にすることができ、多量生産で機械化された鋳物工場には不可欠のものとなっている。
    天然砂の場合は配合や混練などに、砂処理機がなくとも一応は型砂の調製が出来たが、合成砂の場合は、これらなしでは製作することは出来ない。
    合成砂の配合には、天然、人造を問わず珪砂が使用されるが、山砂の持味を生かして、山砂(古砂も入る)に珪砂や粘結剤、添加剤を適当量配合し、砂処理を機械的に行って調製する型砂を半合成砂と称している。にも珪砂を主体としたものがあるが、山砂が主体であるものが多い。
    合成砂の特性を生かすため、鋳型は硬くつき固められるが、さらに珪砂を使用するため砂の熱膨張による欠陥発生は予想されるところである。そのため適当な補助粘結剤(適当に変形態の大きいピッチ粉がよい)を使用するとよい。
    合成砂の流動性が望まれる場合には、もしデキストリンを使用している場合にはコンスターチに切る換えることも一手法である。石岩粉の使用は、天然砂の場合も合成砂の場合にも広く採用されるところであるが、石炭粉の種類、砂粒の大きさ、鋳物の種類と表面積および重量、鋳型造型法および硬さに応じて、その使用量を決めねばならぬ。
    一般に石岩粉とかピッチ類の使用量は2%以下の添加が多く、それ以上では鋳肌を割することが多い。


第7節 粘結剤の種類と性質

●鋳物用の粘結剤は多種多様であり、これらの選択をうまくすることが型砂には非常に重要なことである。粘結剤は木節粘土、ベントナイトのような無機粘結剤と、油、デキストリン、合成樹脂などの有機粘結剤に大別できるが、このほかに水ガラス、石膏、あるいはセメントのような特殊な無機粘結剤も使用されている。

  1. 無機粘結剤の種類と性質
    (1)粘土鉱物の性質
    一般の砂型鋳物では、粘土が粘結剤として使用されているが、粘土は化学分析により鉱物学的には大略つぎの三つに分類される。
    カオリナイト(K)
    イライト(I)
    モンモリロナイト(M)
    これらの粘土はその種類によりこれを砂に配合した場合はその性質はそれぞれ違っており、これを定性的に比較すると表7.1のようになる。

    表7.7.1粘土鉱物の性質
      カオリ
    ナイト
    イラ
    イト
    モンモリロナイト
    Ca-ベントナイト Na-ベントナイト
    湿態圧縮強さ(最大値)
    乾態圧縮強さ(最大値)
    通気度(最大値)
    成型に必要な水分
    焼結点(最大値)
    耐久性
    流動性(最大値)
    破壊性
    靱性
    1370゚Cにおける収縮
    混合しやすさ(最大値)

    図7.7.1粘土鉱物の高温強さ
    ただし表中の数字は最良のもの(1)から最悪のもの(4)への順位を示すものである。
    粘土鉱物はその構造水を失うと粘結力を激減する。図7.7.1はカオリナイト、イライト、Caベントナイト、Naベントナイトを砂に添加し、高温に於ける抗圧強度を求めた結果であり、カナリナイト(木節粘土)とモンモリロナイト(ベントナイト)では非常に高温抗圧強度の状態が違っていることがわかる。
    これらの粘土鉱物の鋳型用粘結剤の性質を比較すると次のようになる。
    湿態強さと乾態強さはM>I>K
    鋳型表面の安定性はK>I>M
    湿態強さの水分感度はK>I>M
    高温強さの最高値温度はK>I>M
    ただし、Mはモンモリロナイト、Iはイライト、Kはカオリナイトを示す。
    (2)粘土中の不純物
    粘土中には上述の3種の粘土鉱物以外に多くの不純物が含まれているが、これらの影響を示すと次のようになる。

    1. 石英
      明らかに砂粒子と認められるものから超微粒子のような細かいものまで混入している。石英は粘土の粘結力を弱め、鋳型の熱膨張を大きくし、また耐火度を低める。
    2. 長石
      粘結力を弱め、耐火度を低める。
    3. 雲母
      これも粗粒から細粒のものまで混入し、十分粘土化したものは悪影響がない。
    4. 鉄塩
      多量に存在する場合は水酸化第二鉄でも復用性を悪くする。
    5. 有機物
      低温で燃焼するが粘結力を低下させる。
    6. 石灰石
      方解石、石膏その他。
      以上のように一部のものを除いては不純物はほとんどの粘土の性質を劣化させるので、これらの不純物は少ないことが望ましい

    (3)ベントナイト
    国産のベントナイトの出産地は、山形、群馬、新潟地区であり、これらの3者を鋳型に用いた場合、異った性質を示す。表7.2は標準砂に7%のベンナイトと4%の水分添加したときの湿態、乾態および高温の性質である。

    表7.7.2ベントナイトの性質
      湿態圧縮強さ
    kg/cm2
    乾態圧縮強さ
    kg/cm2
    高温圧縮強さ
    kg/cm2
    急熱膨張量
    流動性
    山形 0.26 5.84 53.6 1.66 25
    群馬 0.47 2.98 40.6 1.60 29
    新潟 0.42 2.97 31.3 1.75 25

    一般的にいえるには、山形産のものは乾態圧力を必要とする大物の粘結剤に、群馬のものは生型圧縮強さが高いから、生型小物の粘結剤に適する。なお流動性からみると、サラサラ流れる感じでは群馬のものがよく、ふんわりとして弾力性のある型には山形、しかし作業形態あるいは補助粘結剤、添加剤の使用により一概にその適否をいうことはできない。
    (4)木節粘土
    型の手直しがきくこと、ベントナイトのように膨潤しないために流動性がよいこと、耐火度が高いなどのことから大物あるいは乾燥型、または山砂の粘土分の補給用として使用されているが、ベントナイトよりも千差万別でなかなか一概にその適否を明確にすることが出来ないのが現状である。表7.3は木節粘土系のものの一部の性質を示す。
    この試験は標準砂に12%の各種粘土と5.5%の水分で行ったものである。

    表7.7.3木節粘土の性質
      湿態圧縮強さ
    kg/cm2
    乾態圧縮強さ
    kg/cm2
    高温圧縮強さ
    kg/cm2
    急熱膨張量
    流動性
    瑞浪 0.40 2.06 22.4 1.82 29
    瀬戸 0.18 2.12 23.0 1.81 36
    土岐津 0.37 3.02 36.8 1.61 40
    上野 0.08 1.76 29.0 1.76 28

    ベントナイトの試験結果と比較すると、添加量が5%も粘土のほうが多いのに、圧縮強さはベントナイトよりも低く、熱膨張量は一般にベントナイトよりも高い、しかし流動性はベントナイトに比較する非常に優れた値になっている。これらの数値から合成砂の場合には生型ではベントナイトを使用したほうが、添加量もしたがって添加水分も少なくてすむから好都合である。

  2. 有機粘結剤の種類と性質
    有機粘結剤は油中子のように有機物が砂の主粘結剤として使われるほかに、主たる粘結力は無機粘結剤で求め、あるいは湿態強度は無機粘結剤で求めて、乾態あるいは放置における不足強度だけを有機粘結剤に求めようとすることが多い。すなわち有機粘結剤を補助粘結材あるいは二次粘結剤として用いる方法とがあり、その必要に応じ適当な有機粘結剤が選択される。有機粘結剤として現在鋳型用に使用されているものを大別すると、油分、でんぷ粉類、糖類、合成樹脂類等がある。
    (1)油類粘結剤
    油類のうちもっとも一般的に用いられているのはアマニ油、大豆油、種油などの植物性の乾性油であり、これらのアマニ油、大豆油等の植物性油は主として中子などに用いられている。これらの油等を用いた中子は170〜190゚Cで乾燥した場合大きな乾燥強度が得られ、しかし油であるので吸湿性がないこと、砂落しが容易であること等が利点である。しかし砂にこれらの油を配合しただけで湿態の強度がでないために、少量のベントナイト(1〜2%)およびでん粉系の補助粘結剤を添加することが行なわれている。
    また油粘結剤は主型用合成砂の成型放置による表面のボロツキを防止するために乾燥防止にも使用されている。
    (2)でん粉類粘結剤
    でん粉を加工したデキストリンおよびαでん粉を使用すれば、水分さえあれば強力な粘着力を発揮するものができるため、ほとんどこれらのデキストリン、αでん粉が使用されるようになった。デキストリンは低水分でも粘着力が増すので主型の生型のあるいは乾燥型の表面砂粒の安定剤として用いられる。αでん粉はやや水分を多く必要とするから一般的には水分を多くしてもそれほどさしつかえない乾燥型あるいは中子用として使用される。
    (3)糖類粘結剤
    図7.7.2アマニ油a.オージン油b
    粘土を粘結剤とした砂の吸湿曲線

    この主なものは昔から中子用として好んで使われていたオージン・サルファイトがある。また最近ではミカンの皮からほとんど同様なものがとれることが報告されている。乾燥強度が比較的弱いこと図7.2に示すように吸湿性がはなはだしいことから、次第に油やその他の粘結剤に変えられつつある。
    (4)合成樹脂粘結剤
    合成樹脂粘結剤のなかでもっとも一般的に使用されているものには、シェルモールド用の石炭酸系樹脂があり、また一部ではこれに替わるものとして尿素系の樹脂がある。これらの樹脂は粉末状ではそのまま珪砂に3〜5%程度配合してシェルモールド用として使用されるが液状のものは珪砂を被覆していわゆるコーテットサンドとして使用される。
    油砂の代用として醋酸ビニールの製造工程中間体として出来るポリビニールアルコールが一般的に使用され、水溶性であり、ふきつけにも便利であるが熱分解温度が低いので管理にやや難点がある。合成樹脂粘着剤の中には、その性質がよくても、悪臭、刺激臭などを発生して環境衛生上不適当なものも有り、その選択にはこの点にも留意が必要である。
  3. 特殊な粘結剤
    (1)珪酸ソーダ(水ガラス)
    水ガラスはガス型法の粘結剤としてすでに一酸化し、広く使用されている。主成分は珪酸ソーダで砂落しの効果や成型強度を上げる目的で、糖蜜のような有機質のものが添加されている。普通は4〜6%を珪砂に添加して使用する。
    (2)エアーセットオイル
    大物用中子あるいは主型用としてその使用が注目されている。植物性の油と合成樹脂からなるといわれ、硬化促進剤(過硼酸ソーダ等)を少量添加することにより硬化時間を短縮調整できる。常温で放置し硬化さすものと焼成さすものとがある。造型焼成はほとんど普通の油砂と変わらない。
    (3)セメント
    ポルトランドセメントを用い、大物鋳鉄用として主型、中子とも工作機関係の工場などで使用されている。ベントナイトのかわりにポルトランドセメント7〜10%で混練し造型してそのままある程度硬化するまで放置し、型抜き後また大気中で放置乾燥あるいは、乾燥炉にて乾燥後使用する。値段も安いためにエアーセット法と組合わせ肌部分をエアーセットの油砂、裏砂をセメント型というような組合わせでも使用されている。
  4. 鋳物砂の添加剤の種類と性質
    鋳型砂の中へは無機有機の粘結剤へのほか鋳肌をよくする、砂落しをよくする、すくわれや、目ざしベーニングを防止する、鋳型との反応を防止するなど種々の目的で要求に応じて各種の添加剤が添加される。これを大別すると次のようになる。
    イ炭素質添加剤
    ロでん粉質添加剤
    ハ繊維素質添加剤
    ニその他
    の添加剤となる
    (1)炭素質添加剤
    炭素質添加剤には、石炭粉、ピッチ粉、コークス粉、黒鉛粉末などがある。
    (イ)石炭粉
    鋳肌をよくし、砂落しを容易にする。すくわれ防止等の目的に普通鋳鉄の砂に1%前後(新砂には1〜2%反ぷく使用すれば0.5%程度でよい)添加される。これらの目的に使用される石炭粉は一般に揮発分が高く、灰分の少ないことがよい。分析の結果のよると水分2〜6%揮発分35〜43%、灰分3〜15%、固定炭素40〜50%であるがこの中で水分2〜6%、揮発分35〜43%、灰分3〜15%、固定炭素40〜50%であるがこの中で水分2.5%揮発分43%、灰分3.5%、固定炭素45%のものが実験結果でももっとも良好であった。
    灰分の多いものは、古砂中の微粉分を増加させるのでよくない。細かいとすくわれ系統の鋳キズの防止には有効であるが、砂落しのさいに砂が焼結しランプサンドになることも予想される。従って目的に応じて粒度の選択が必要である。
    (ロ)ピッチ粉
    ピッチ粉は灰分がほとんどなく、しかも揮発分がある程度自由に選択されしかも粒度も丸くすることができるために、石炭粉に比較して高価であるが、一部では石炭粉の替りに用いられている。揮発分の低いものは20%前後、ガス型に添加した場合ピッチ特有の悪臭も少なく、また焼結しにくいので砂落しを容易にするために加えられる。あらゆる鋳湯のガス型に1〜2%加えられる。また揮発性の高いものは合成砂に添加して鋳肌をよくし、すくわれを防止するのに有効である。
    (ハ)コークス粉
    揮発分がほとんどないために大物中子などに砂落しだけをよくし、できるだけガス発生を少なくするような場合に使われる。しかし粒形が悪いから油砂やその他の液体粘結剤(水ガラスの粘結剤の時には2〜3%使用することがある)を使うような場合には使われない。大物の中子には3〜10%加えて砂落しをよくしている。また微粉にしたものは塗型にも使用されている。
    (ニ)黒鉛粉末
    主として塗型用として用いられるが、鋳肌を必要とする紡織機部品など薄物の山砂にヘラかけが容易になる。鋳肌がよくなる等の理由に添加される。しかしすくわれなどにはあまり期待できない
    (2)でん粉質添加剤
    代表的なものではとうもろこしより造る生でん粉であるコンスターチがある。砂型の熱膨張にするすくわれ防止には非常に有効である。またこれを古砂中に混合された場合には一部、でん粉化あるいはデキストリン化するために、古砂を用いる場合には補助粘結剤としての効果も期待できる。しかも流動性を害さないために好んで添加剤として使用される。なおコンスターチを原料として造られたでん粉は、デキストリンに比べてすくわれに対する効果が大きいので添加剤として使用される。このようなでん粉質添加剤はすくわれに対する効果が大きいので添加剤として使用される。このようなでん粉質添加剤はすくわれを防止するばかりでなく砂落しを容易にし、鋳肌をよくするのに役立っている。
    (3)繊維素質添加剤
    繊維素質添加剤にはモミガラ、和紙、スサなどがあるが、最近は100メッシュ前後の鋳型用木粉が多く使用されている。砂型の熱応力を低下させる効果が大きいのですくわれの防止にもなり、又砂落しを容易にする。鋳物の熱間キ裂の防止に0.5〜1.5%添加される。しかし吸湿するので強度を低下させる。又砂型表面がボロツキやすくなる欠陥がある。
    (4)その他の添加剤
    目さし防止、鋳型の高温強度を上げる目的で珪石炭が使用される。しかし成型性をわかくし、熱膨張を大きくする欠点もあり、クッション作用のある添加剤と併用する事がのぞましい。このほかに油中子およびガス型のベーニング防止の目的に酸化鉄(Fe2O3)も一部では使用されている。また鋳物砂を処理する目的で砂に着色することも行われ、酸化鉄、酸化クロームも微量添加することがある。また砂のPHを調節するために苛性ソーダーを加えることもある。


第8節 鋳物砂処理機械

●鋳物砂処理機械は其の造られる鋳物により種々の機械が使用されるが大別して見ると次のようになる。

  1. 乾燥
  2. 節分け
  3. ばらし
  4. 磁気分解
  5. 混練
  6. 分解(エアレート)
  1. 乾燥
    乾燥機の分類法にはいろいろの方法が考えられるが、加熱方法では熱風乾燥、加熱乾燥、熱風および加熱面乾燥に分けられる。操作の種類によっては不連続式と連続式がある。しかしいかなる乾燥機械を使用するにも、珪砂は575゚Cと1,250゚Cにそれぞれ変態点があり、575゚Cに、石英より石英に、また1,250゚Cで石英より、クリストパライトに変態する。575゚Cの変態で比重が2,653より2,323と0.33も減少することで、約12.5%も比重が低下している。したがって容積が膨張し、急激に熱するとこの温度で、いずれも各層格子に分裂し、新しい結晶相が生ずる。しかし付着水はいずれも120゚C〜150゚Cで放出される。
    上述のように珪砂は575゚C、粘土は520゚C以上に温度を上げることは危険であって、鋳物砂の乾燥は、500゚C以下の温度で行わなければならない。
    (1)固定式加熱面乾燥機
    最も原始的な乾燥機で、ぬれた砂を鉄板上に広げ、下から加熱して水分を蒸発させる。燃料は主としてコークスが使われる。
    (2)回転乾燥機
    この型式は円筒が横になって回転するもので、横軸は普通3〜6゚のゆるい傾斜になっている。砂は一方から他端に進み、その間に熱風あるいは加熱面により乾燥される。これには図7.8.1のように大別して4つある。
    (3)堅型乾燥機
    これは同筒を垂直に立てた形状のもので、湿った砂は大低バケットエレベーターにより乾燥機の上部に運ばれ、乾燥機内部を下降しながら熱風により水分を除去されつつ下部に乾燥砂がでてくるようになっている。この乾燥機は砂を頂部まで上げるがバケットエレベーターに水分の多い砂を入れるとバケットに砂が着き能率が悪くなる欠陥があるが、しかし所要床面積が非常に少なくてすむ長所もある。
  2. 節分け
    補給用新砂を調節するための節分けはもちろん、注湯後、型ばらしあるいはシェイクアウトをし、さらに焼砂は砂塊をとるかして、粒度調整をするため一般に篩にかけられる。
    この篩分けは一見ごとくありふれた簡単な操作であるが、実際に使用して見るといろいろの問題がもつれあって、その現象はなかなか複雑であると同時に、その保守はきわめてむずかしい。
    (1)ブレーカスクリーン
    これは鋳鉄、鋳鋼などの乾燥型砂処理の場合、回収すべき砂塊を粉砕し、砂中に混入している芯金、釘、鉄屑、錬瓦などの爽雑物を除いて以後の砂処理工程を完全にするための装置である。まず投入口より投入された砂は、鋼板を抜いて造られた円筒形のものか、あるいは太い針金の篩鋼の回転篩の中に入り、内部に設けられた螺旋状案内羽根により次第に後方に送られると同時に回転力と摩擦により上部に持ち上げられては自然落下し、その時の衝撃で砂境が粉砕されて篩穴を通る。砂中に含まれている爽雑物は、螺旋状案内羽根により順次送りだされて外部へである。駆動方法には大別して、フリクションローラーによる間接駆動式と内部シャフトによる直接駆動式がある。ブレーカスクリーンは摩耗以外にはほとんど故障はないようである。
    (2)回転篩
    古砂の回収と肌砂の調整用に使用されるもので、型式には篩の断面が六角形や円形のもの、あるいはマグネシュウムセパレーターのついたものもある。篩鋼は二重に張られたものが多く、このものは二段に篩分けられ、内側は6〜10メッシュ、外側は35〜65メッシュぐらいの鋼が使われている。この篩は非常に故障が多い。
    (3)振動篩
    図7.8.2振動への砂の補給法
    この篩は実く多く、将来はブレーカスクリーンは別にしてすべてこの型式の篩に置変る可能性がある。現在では乾燥型の粗微粉の除去、肌砂の粒度調製に用いられている。振動源は機械式と電磁式に分けられ、また運動方式には往復運動と閉曲線運動型で偏心軸により振動を発生させるもので、鋳造工場で使用されている大部分がこれである。この篩を使用するとき、コンベアーあるいはバケットより直接篩面に落さず定量ホッパーを通じあて板上に一度供給してから篩分けられるようにするべきである。
  3. ばらし(シェイクアウト)
    注湯の工程が終った後、鋳枠から製品と砂とを分離するのがシェイクアウトの役目である。しかし中子に関してはノックアウトと称し、製品から砂を分類する。この操作は砂処理の最初の工程で、工場の機械化が進めば能率向上のためのシェイクアウトの装置は欠くことができない。
    シェイクアウトマシンは、格子状に四角な穴のあいたグレート(その上にばらし前の枠を置く)と10数本のスプリングによって支えられ、偏心軸によってグレートに振動を与える。このスプリングは上下方向のみならず左右にも弾性的に指示するようになっており、したがって振動や衝撃に対してはこのスプリングによって十分に吸収される。このため鋳枠から分けられた製品と型砂はグレートの穴を通過し、下にある漏斗状の受けを介してコンベアー状に送られる。偏心軸を使う外以に圧縮空気を用いる方法もある。
  4. 磁気分離
    鋳型や中子に使用した芯金、釘、針金、注湯のさい生ずる鋳屑、あるいは取扱中入るスチールショットなどは、砂処理工程中で取除かなければならない。これらの鉄片除去には一般に磁気分離器が使用される。
    もちろん乾燥型ではブレーカスクリーンで取除くこともあるが、それでも小さい鉄片は難しい。磁気分離機を大別すると、永久磁石を用いるものと電磁石を用いるものに分けられる。最近な永久磁石の粉末をゴムベルトに混合したプーリーも出来てきた。
    作動を説明するとほぼ一定の厚みでコンベアーにより運ばれてきた砂と鉄片の混合物は、このプーリー上にくると、非磁性体の砂は重力と遠心力により前方に落下するが、磁石をもつ鉄片は磁力によってそのままベルトとともに回転する。しかし磁極から離れるにしたがって引力が減少するため、重力により落下する。両者の間に仕切板をおけば落下位置が異なるため、砂と鉄片が分離される。
  5. 混練
    図7.8.3プーリー上の作動
    砂処理工程中、混練は型砂の性質を調節するもっとも重要な操作である。すなわち配合した砂が添加された粘結剤や水分などと十分混ざり合って、その機能を完全に発揮させる工程未期の手段である。
    混練機には、その種類も多く、その機能についてもそれぞれ特徴があるが、現用の主なものについて説明する。
    (1)シンプソンミル
    鋳物工場でもっとも広く用いられている混練機で、一般にサンドミルと呼ばれ砂白あるいはエッジランナとも呼ばれている。その構造は簡単で、故障が少なく、さらに十分な混練効果があげられる点が、広く用いられるゆえんである。用途も広く、肌砂、裏砂、中子砂の混練はもちろん、コークス粉、石炭粉の製造や新砂の粉砕などに用いられる。このミルで混練された肌砂や裏砂は、たいていエアーレートしてから造型に使われる。
    (2)マルバロ
    シンプソンミルと構造的にはほとんど同じであるが、2、3の特殊な工夫がなされ、ポータブル式である点が異っている。用途は肌砂、裏砂、中子砂いずれにもよい。
    (3)スピードマラー
    スピードマラーはミルより同一馬力で処理が大きく多くの長所をもっている。中心軸の回転数はミルの4〜5倍も速く、110〜120rpmであるため混練時間は3〜5minでよい。又この混練機は肌砂、裏砂、中子砂の混練はもちろん、エアーレートをする必要性は少ない。
    (4)ワールミックス
    ワールミックスはスピードマラーとよくにた構造のものであるが、容量はスピードマラーより小型で回転数は80rpmとやや遅く、なお側壁およびホイールに耐摩耗性のゴムが巻き付けられ、高速回転にとものう砂粒の破壊防止につとめている。図7.8.4にワールミックスとサンドミルとの混練後に於ける砂の性質を比較する。
    (5)連続ミル
    最近わが国にも砂混練機の大型化が取入れられ特に従来の1バッチごとの混練と異なり連続的に混練のできることである。その内にはオートミラー、マルチマル、これはシンプソンミルのよさを生かした連続ミルで、自動造型ラインに取入れられている。又従来は窯業方面で原料の混合に使用されていたものであるが、最近は鋳物砂に用いられるようになった。これは他のミルに比較して動力消費が少ないのが特徴である。其の外ローテンションミッシャーがある。これは従来のミルと同一般合比で混練した場合団粒の成生量も少なくかつ通気度、圧縮強さ、剪段強さも短時間で高い値がでる。
  6. 分解(エアレート)
    エアレートは鋳物砂に均一性を与え、造型すやすい状態にするため必要であり、製品の鋳肌やできばえもエアレートすることにより、非常によくなる。又シェイクアウト後の鋳物砂の循環過程で砂を冷却さすことである。前者は裏砂、後者は肌砂用として広く用いられている。このほかコンベアー上で使用されるレビビファイアや篩分けの方式もある。


第9節 鋳物砂の老化現象

  1. 粘結剤からみた場合
    砂粒の周曲が強熱せられると、砂粒の周囲の物質は乾燥したり、燃焼したり、あるいは固結したり物理的科学的変化を生ずる。
    ある温度以上では粘結剤はその粘結性を失い、添加物は燃焼するか、その特性を失うかして鋳型の性質を維持できない。粘結鉱物はその結晶水を失うと粘結力が激減する。この温度は大体500゚Cぐらいで、これらの加熱された粘土は、再び粉末に戻してももはや粘結剤としての役割はなく、単に微粉として存在するだけである。
    油脂類および合成樹脂などは分解して炭化が起る
  2. 珪砂の側からみた場合
    前述したが珪砂が加熱により575゚Cにて大きな変態点があって、石英から石英に、結晶構造が変化する。
    575゚Cの変態でも比重が2.653−>2.323と低下するので、容積は逆に大きくなる。急激な加熱をすると、この温度においても膨張による珪砂自体の亀裂、崩壊が起こる。型砂は各種の粘結剤や添加剤と混合しているのでその珪砂粒の一つをとって図解すると図7.9.1のようになる。
    各砂粒のまわりに皮膜が形成され、これが熱影響を受けるので、珪砂自信と被膜成分がそれぞれ変質するものであって、脱水したり、燃焼したり、焼付いて堅い被膜として固着することが多く、砂同志も鋳物表面で鉄の酸化物と反応して(ガラス状の珪酸鉄)(2FIOSiO2)フエヤライトを形成し老化する。
  3. 回収法
    回収法としては、乾式、加熱式および混式の3法であるが、これら各種の法式を適当に併用する場合は、各式の長所が生かされて、きわめて効果的であることが実証されている。


第10章 鋳物砂の試験方法

  1. 水分測定器
    水分の測定には標準法のほかに現在使用されているものには7種類ある。いろいろの角度から分類してみると表10.1のようである。この水分測定のうち電気的測定法は連続測定が可能で、最近行われだした水分の自動制御に重要である。

    表7.10.1水分測定の分類
    _____分類 物理的分類 迅速性 迅速性
    の順位
    直接的か間接的 連続測定の可能性
    種類 直接的 間接的
    標準法 加熱法      
    熱風法 加熱法      
    赤外線法 加熱法      
    電気容量法 電気的方法      
    電気伝導法 電気的方法      
    相対湿度法 電気的方法      
    カーバイト法 圧力法      
    デシケータ法 吸収法          

    (1)標準法
    低温乾燥機を105±5゚Cに調節しておき、この中に所定電量(一般には50gまたは100g)のサンプルを入れ乾燥される。乾燥時間は恒量になるまで行なうが、多少水分を入れる容器は、時計皿、磁製皿であり、これ以上の時間を超えても差支えない。乾燥が終ればデシケーター中で冷却し常温になってから秤量する。水分%の表示は普通小数点以下1位までの値によっている。水分の表示には二つの方法があり、一つは砂と水の和の全重量に水分%、もう一つは砂のみの重量に対する水分%である。前者を湿量基準、後者を乾量基準と称し次式で表わされる。
    湿量基準
    乾量基準
    ここでWは砂の重量、Wは水の重量である。砂に含まれる水分の絶対量が同じでも当然両者の水分%は異なり乾量基準のほうが大きく表現される。一般に水分測定の場合には湿量基準により、工学的計算には乾量基準が用いられる場合が多い。
    (2)熱風法
    これは熱風式乾燥器によって行う。標準法より1/10〜1/15の時間でできる
    (3)赤外線加熱法
    これは赤外線ランプの幅射を利用して行う方法である。たとえば赤外線ランプとトーションバランスあるいは天秤と組合せたものなのであるが、赤外線の輻射熱による重量変化を光学拡大装置を設けた天秤により自動的に目盛板上に指示させ、砂中の水分を直読さすものである。測定時間は加熱法より少し余計かかる
    (4)電気容量法
    図7.10.1電気容量法の原理図
    この方法の原理は図10.1に示すように未知の容量Csとを同調回路に並列につなぎ、その共振周波数がFからFに変化したとすれば次式により未知容量のCxを求めることができる。
    Cx=Cs(f22−f12)/f,
    したがってFとFを一定にするようにCsを変化するとCxを知ることができる。すなわちCxに所要の鋳物砂を入その容量を測定すれば、あらかじめ鋳物砂の電気容量と水分の関係をプロットした図線によって、鋳物砂中の水分がわかる。
    (5)電気伝導法
    この方法は測定しようとする砂に直接電気湿度計を接触させ、砂の周曲の空気との相対湿度を求めることにより水分量を得るものである。もちろん相対湿度と水分量の推定線図はあらかじめ用意しておく必要がある
    (6)カーバイト法
    砂とカルシュウムカーバイトを所要割合にして密閉容器内に入れ、よく混合すると砂の含む水分とカーバイトが反応してアセチレンガスを発生し、それによって圧力を生じる。この圧力を測定することにより水分量を求めるのが測定の原理である。測定上の注意としてはサンプルとカーバイトを容器に入れた後十分にふって反応を助けることである。この方法は操作はごく簡単であり一般に広く利用されている。

  2. 通気度の測定法(JIS)
    これはJISに定っているものの一部を次に掲げる。
    (1)適用範囲
    この規格は鋳物砂の通気度を測定する方法について規定する。
    (2)用語の説明
    通気度といえば、一定の試験片を通じて、一定の圧力の空気が流れる速度で表現した値である。
    (3)試験装置及び器具
    イ、通気度試験機
    通気度試験機は図10.2に示すもので、1,000ccの空気量の時にゲージ圧が静止状態で水柱100.5cmを保ち、その圧力のものに2,000ccの空気を300cc/sec以上の速度で送り得るものである。
    図7.10.2通気度試験機の構造略図
    図7.10.3試験型付き固め機

    (4)試験方法
    通気度の試験方法には標準法と迅速法とがある。
    標準法は、常温のもとで図10.2の試験機により空気2,000ccが所定の試験片を通過排出させるとき、その試験片にそう入させる空気と、試験片を通過排出させる空気との間に起る空気の厚賀一定した時の値、および空気の排出所用時間を測定し、次式による通気度を求める方法である。
    K=(V×h)/(P×A×t)
    ここにK:通気度、V:通過する空気量(2,000cc)、h:試験片の高さ(50.1mm)、P:空気圧(水柱cm)、A:試験片の断面積(19.6cm2)、t:V:の過するに要する時間(min)。迅速法は常温のものでオリフィスにより、一定流速にある空気が所定の試験片を通過排出させる間に起こる空気の圧が、一定した時の値のみを測定して通気度を求める方法である。

  3. 圧縮強さ
    (1)適用範囲
    この規格は鋳物砂の圧力強さを測定する試験方法について規定する。
    (2)試験装置及び器具
    イ、圧縮試験機
    ロ、試験片つき固め器
    ハ、試験片作成用わく
    ニ、試験片作成用台
    ホ、押抜台
    (3)試験方法
    1. 試験片の作成
      1. 湿態の場合
        試験片の作成は、まずわくに台を取付け、その中に砂を入れ、試験片つき固め器によって3回突き固めを行い、高さが50±1mmになるようにする。つぎにこの試料を押抜く。もしその高さが50±1mmの範囲をはずれた時は、新たに別の砂をもって、上記の範囲の高さになるように作成する。なお、一度試験した砂は再び使用することはできない。
      2. .乾態の場合
        上記の方法によって作成した資料を金属板上にのせ、そのまま乾燥炉にて所定の温度に乾燥する。乾燥後デシケーター中にて室温まで冷却させる。
    2. 操作
      1. 湿態の場合
        試験片を湿態圧縮試験機に取付け、約30g/secの速度で圧縮し、破壊した時の数値を測定する
      2. 乾態の場合
        試験片を乾態圧縮試験器に取りつけ、約150g/cm2/secの速度で圧縮し、破壊した時の数値を測定する。

    (4)表示
    圧縮強さはkg/cm2で表示する。ただし試験器の数値が荷重をもって表わされたときには次式で圧縮強さを求める。6c=W/A
    ここで6cは圧縮強さ(kg/cm2)、Wは試験片が破戒した時の荷重(kg)、Aは試験片の断面積(cm2)
    (5)記録
    試験結果は有効数字2桁まで算出する。ただし同一試料にて3回以上の試験を行い、偏差5%以内のものの算出平均値である。乾態の場合は処理条件を付記する。

  4. 粒度
    粒度は砂粒の粒形を表わすものでなく一定時間標準篩にかけその篩目を通過した砂の大きさにより分類される。
    (1)粒度試験方法
    粘土分を除いた砂粒をサンプルとし、これを標準篩を積み重ねた一番上の篩にあける。しかしこのとき粘土分を除去して吸湿しないように注意する。サンプルを篩に入れた後は必ず蓋をし、これをロータップ振盪機にとりつける。このロータップ振盪機は水平円運動と往復運動を組合わせた動きをし、上からハンマーで打撃を与える装置である。その振幅は25mm、運動速度は260〜310/min、打撃数は150〜175/minである。篩分けする時間は15min間行なう。この操作が終われば篩を上から順にはずし紙の上にあける。目詰まりしている粒子はハケあるいはブラシでこすり、測定する。
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