鋳物辞典【鋳造作業法について】

第14章 鋳鉄鋳物用溶解法


鋳物辞典トップへ


第1節 主なる鋳鉄溶解炉の種類及用途

  1. 一般に金属の溶解炉としては、キュポラ、ルッポ炉、反射炉、回転炉、アーク炉、誘導電気炉、平炉、転炉などであるが、その溶解する金属によって、鋳鉄用、鋳鋼用、銅合金用、アルミ合金用、その他非鉄合金用として、その原材料に依って、溶解条件が、色々違うことや、経済的な観点から、その炉の構造や熱源が異って来ている。
  2. 鋳鉄溶解炉としては、昔、コシキを使用していたが、比較的に構造が簡単で操業の容易な酸性冷風キュポラが、多く使用されている。ところで、鋳鉄の材質というものが、その溶解作業の適否に依って、非常に、左右されますので、溶解作業というものは、慎重に行なわねばなりません。その上、鋳鉄の材質が、日々改良され、今まで、FC20で満足されていたものが、使用者側の要求で、FC25になったり、FC30になったり、又、FCD40や55になったりして来ると、益々作業管理をよくしなければならず、従って、キュポラそのものも改良され、水冷熱風キュポラが使用され、又、最近では多くの工場で原材料が安価ですみ、かつ温度調節、品質管理のしやすい低周波誘導炉が利用されてきております。第1表にダクタイル鋳鉄溶解に用いられている溶解炉の使用している実状を見てもわかるように、高級鋳鉄になるに従って、使用炉も変わってきております。
    写真1は、コンキ古炉、写真2は、池貝式酸性冷風キュポラを示す。


第1表FCD溶解炉の実状
炉の種類 使用会社数
電気炉 171
酸性キュポラ 35
塩基性キュポラ 54
その他の炉 未報告社あり不詳



第2節 キュポラの構造

  1. 主要部分の名称
  2. 主要部分の機能
  1. キュポラの各部の名称については、第1図にかかげる通りであるが、これ以外に下記の言葉や符号が、一般に使われる。

    第1図キュポラの各部分の名称
     
    羽口面炉の断面積 :A(m3)
    羽口比 :A/a
    有効高さ比 :H/D
    風箱断面積 :dl(m3)
    溶解速度 :W(t/hr)
    送風量 :V(m3/min)
  2. 溶解能力
    キュポラの溶解能力は、例えば、5tキュポラといえば、1時間に溶解される溶湯の量が、5tであるというように、言われて来たが、これは、どこまでも、一つの「目安」であって、その送風量やコークス比などで、溶解速度が、変わってくるので、妥当な表現ではない、そこで、キュポラの内系に依って、キュポラの番号を決めて、その番号に依る標準の溶解速度を決めている。第2表は、キュポラの内径に対する溶解速度の標準値を示す、従って、キュポラの選定に当たっては、前似て出湯速度は、どの位にするのか、どんな地金を使用するのか、どんな製品を主としてやるのかなど、その操業の目的を決めてからでなければならない。

    第2表キュポラの内径に対する溶解速度の標準値(鋳物便覧参照のこと)
    番号
    No.
    内径
    D(mm)
    断面積
    A(m2)
    溶解速度W(t/hr)
      V/A=121〜140 V/A=101〜120 V/A=80〜100
    300 0.071 0.4 0.3
    350 0.096 0.5 0.4
    400 0.126 0.7 0.6 0.5
    450 0.159 1.0 0.8 0.7 0.5
    500 0.196 1.3 1.1 0.9 0.7
    550 0.238 1.6 1.4 1.2 1.0
    600 0.283 2.0 1.8 1.6 1.3
    650 0.332 2.5 2.2 2.0 1.7
    700 0.385 3.0 2.7 2.4 2.1
    10 750 0.442 3.5 3.2 2.9 2.5
    11 800 0.503 4.1 3.7 3.4 2.9
    12 850 0.567 4.7 4.3 3.9 3.4
    13 900 0.636 5.3 4.9 4.4 3.9
    14 950 0.706 5.9 5.5 5.0 4.4
    15 1000 0.785 6.6 6.1 5.6 5.0
    16 1050 0.866 7.4 6.8 6.2 5.6
    17 1100 0.950 8.2 7.5 6.9 6.2
    18 1150 1.039 9.0 8.3 7.6 6.9
    19 1200 1.131 9.8 9.1 8.4 7.6
    20 1250 1.227 10.7 9.9 9.2 8.3
    21 1300 1.327 11.6 10.8 10.0 9.0
    22 1350 1.431 12.5 11.7 10.8 9.8
    23 1400 1.539 13.5 12.6 11.7 10.6
    24 1450 1.651 14.5 13.6 12.6 11.4
    25 1500 1.767 15.6 14.6 13.5 12.3
    適応するコークス比(%) 17〜22 22〜17 10〜12 8〜10
    コークス中の灰分(%) <10 <10 10〜12 10〜12
    出湯温度(゚C) >1500 1450〜1500 1400〜1450 <=1400
    操業の目的 高温溶解特に屑鉄
    主原料の溶解に適する
    正常操業 経済的操業 経済的操業
    備考 コークス比を低下すると
    過剰送風の害を生ずる
        過少送風の害を
    生じやすい

  3. 溶解体の形状
    第2図炉内の形状
    第2図に示すように色々な形状のものが使用される。(イ)は、普通の形状で、(ロ)は、送風を少しでも炉の中心に送り込もうという考え方、(ハ)は、材料を多く予熱しようということであるが、傾斜の角度や位置に注意しないと、棚つりを起し易い。(ニ)は、炉況の変動が少ないように、あらかじめ過熱部分を拡大して置く、高温溶解用としては、(ロ)か(ニ)が、よいようである。
  4. 有効高さ
    羽口の位置より上の投入口下づらまでの高さを言っていたが、これは、材料を手装入する場合のことであって、機械的に装入する際は、投入口下面と装入された材料の上づらとは違って来るから、有効高さとは羽口の位置から上方に一杯つまった材料の上辺までの高さをいう。要すれば、充分に予熱するのに有効な高さということです。この「有効な」ということは、予熱のみにこだわると、この有効高さHを大にすればよいのですが、問題はこのHを大にすると、送風抵抗が増加して送風機に負担がかかりすぎたり、あるいは送風量を一定にして置くとその単位面積当たりの送風量が不足になったりしますので、有効な範囲があるわけで、一般には有効高さ比は4〜5をとり炉径の小さいものほど大きな値をとります。早稲田の鋳物研究所の加山博士は、炉径400m/mの小型キュポラで実験されたところ、H=2400m/mが、よい結果が出て居り、H/Dは、1〜2t程度のキュポラでは、6〜5.5ぐらいにすべきだといわれております。
  5. 羽口
    羽口は、炉の中に空気を送り込むところで、その羽口の大きさ(断面積の総和)とか形状とか、数に依って、炉の中のコークスの燃焼状況が、違って来るので大切なところです。今、羽口の断面積の総和をaで表わすとA/aこれを羽口比と言って、炉の大きさに依って、A/aは、決められ、その標準としては、4〜10の範囲で、炉の径が小さいほど小さくとる。
    理想的に言えば、炉の中心部も外周部も、コークスの燃焼は、均一に行われるのが、よいが、実際には中々思うように行きません。現場でのテストとしては、羽口から、鉄棒を突っ込んで、その位置に依り、赤熱の状態や湯滴の附着状況を調べて見ることも必要でしょう。
    羽口の形状には、丸羽口(イ)、短形羽口(ロ)、入羽口と出羽口の違う末広がりの羽口(ハ)など、色々あります。
    この外、羽口を傾斜させて空気が、炉壁に沿って上昇することを防ぐために設計されたものもありますが、大した効果は認められていませんので、水平羽口でよいと考えます。
  6. 風箱
    昔は、非常に小さかったものがもともと風箱は、送風機から送られて来た空気を溜めて、各羽口に導管を通じて、供給してやる役目ですから、小さいより大きい容量の方がよい。その目安としては、送風管の管径に等しいか、若しくは、若干大きい幅にして、その風箱の長さは、幅の4倍ぐらいにするのがよいと言われている。非常に早く流れ込んで来る空気をそのまま羽口に通すと、羽口の位置に依って、特定の位置にある羽口だけが、特別な影響を受ける。そのため均等に羽口に入るように、風箱の中に邪魔板を入れて、空気を適当に導く均等送風―――一般に平衡送風と呼んでいる―――になるような風箱が考案されて、特許になっているものも多い。
  7. 出湯口と出滓
    第4図フロント、スラッギング装置
    以前には、溶湯とスラグは、羽口下の湯溜り部からとり出されたり、炉の前に固定式の前炉を置いて前炉から、とり出されたのですが、湯溜りにためる場合には、その間のコークスと常にふれ合っていますから、加炭されたり、硫黄を吸収したりします。又前炉などで溜めた場合、湯口の出し具合で、スラグの層の厚さが変わり、溶湯の成分のばらつきが、大きくなります。
    こうしたことは、鋳物製品の品質管理上面白くないので、出来るだけ、バラツキの少ないことが、望まれるわけで、こうした観点から、連続的に出湯させ、スラグを分離される方法が生まれました。そして、最近では、可成り普及されている「フロント、スラッギング」方式が採用されているわけです。第4図は、その構造を示して居ります。写真3を御覧になれば、よく解ると思います。
    炉内と分離装置の内とは、溶湯で、連続しているわけで、その各面を押す力は、平衡しているわけですから、炉内、スラグ槽、流出口は、皆等しいことになります。したがって、炉内圧P'を水柱で表わすと、近似的に、
    X=1/7×P'+1/3×S=X+1/3×S
    実際には、P'は、測定して居らず、風箱の圧力Pを測定して、P'は推定である。従って、実用的にはPの水柱mmの風圧を調べ
    X=0.144P+12.7(m/m)
    で、Xを決めればよい。
  8. 前炉
    溶湯を溜めるためのものであるが、次のような利点がある。
    1. 炉内に湯を溜めるため成分的に均一化される。
    2. 硫黄の吸収が少ない。
    3. 炭素が吸収されて加炭することが少ない。

    欠点としては、溶解のドロップがある。50〜70゚C温度降下する。したがって、この欠点を補うために、予熱をしなければならない、又、前炉の大きさは、炉径に依るが、目安としては、1時間当たりの溶解量の50〜60%程度の湯を溜める容量のものが適当である。


第3節 キュポラの附属設備

(1)送風機
(2)計器
(3)材料装入機械類

  1. 送風機
    第5図ブロアーの構造(概略)
    キュポラ用送風機にはルーツブロアーとターボブロアーの2種類があるが、一般にはターポブロアーが使用されている。第5図に示してあるように、ルーツブロアーは、ケーシングの中にある。
    2個の回転子に依って、圧縮された空気を送りだすもので、吹出側の抵抗が増えても減っても、ほぼ一定の風量が流れる。これに対してターボブロアーは、第5図に示されているように、羽根車の回転に依って羽根車の間の空気を遠心力で外に送り出すものであって、吐出口側に抵抗を与えると風量は少なくなって来る。
    キュポラ炉内には、一定の送風が、出来ることはよい溶解が出来るわけでその点、ルーツがよいが抵抗が、多過ぎた場合、より以上の負荷がブロアーにかかって来るので、これがルーツの欠点である。
    一方ターボの場合は、抵抗を増せば、風量が少なくなって来て、ブロアーに無理がかからない、そこでこの風量をコントロールする制御装置を併用する必要がある。併し、総じて設備費や維持費がかからないので、多くのターボブロアーが使用されている。送風機の取扱上の一般的な注意としては
    1. モーターには、必ずアースをとること
    2. 送風機を起動してから、ダンパーを開く
    3. 羽根車を逆転させないこと
  2. 計測器 計測器の主なものは、風圧計、風量自動制御装置、温度計、メーターなどである。
    1. 風圧計
      風圧記録計として計器メーカーで、市販されているが、現場で簡単にチェックする程度なら、目盛板のついた板にビニール管をとりつけるだけでよい。
    2. 風量計
      送風管の直線部分にオリフィス、ピトー管を差込んで、送風管の中の空気の速さを調べる。差込む位置については、その上流に送風管径の8倍、下流に4倍の直線部分につける必要がある。
    3. 温度計
      光温度計、浸漬熱電対式温度計が、一般に使用される。前者は、対眼レンズを通して溶湯を見る際にフイラメントの輝度と溶湯の色とが、合うようにして、温度を測定する後者は、白金−白金ロジウム熱電対を使用する方法で、最も確実である。
  3. 材料投入機
    材料を手装入する場合には、地金を装入台に持ち上げる手間、地金を炉に入れる労働が、必要であるが、機械的に装入する際は、これらの労働力が一切節約できる。6TSのキュポラの材料装入を労務者1名で行なっている例もあるほど、重要な部門である。これが選定については、キュポラの能力、種類、製品の種類など色々な面で考慮しなければならないが、もし電気的な故障や操作の不手際などで停止することになれば、溶解を中止しなければならないので、先づ、第一に故障の少ない、安全装置の完備した簡単で電気的に複雑でないものがよい代表的なものとしてはダンプスキップ式(写真4)、スキッブバケット式、スイベル式(写真5)、クレーン式、モノレール式(写真6)などがある。
ページ上へ


第4節 キュポラの操業法

  1. 点火
  2. 原材料の装入
  3. 送風
  4. 溶融温度
  5. 溶解速度
  6. 出湯及び出滓
  1. 工具及材料 点火に先立って、溶解作業に使用される工具類について簡単に説明致します

    第6図

    第7図止め棒
    第9図測定用具

    1. 栓抜き棒 16m/mφ以上のもの2〜3本を用意する(軟鋼棒)
    2. 栓止め棒 軟鋼棒又は、コンジットペイプで第6図のようなものを使用する
    3. 栓止め材料 生粘土で下図の如くに円錐形にまるめて栓止め棒の先につける
    4. 羽口掃除棒
    5. 炉底落し後の工具、デレッキ、水ホース、突棒
    6. ベットコークス測定用工具(第7図)
    7. ヘロツリ用S環
    8. スコップ
    9. ハンマー
    10. ハジロ、黒味、水桶
  2. 準備作業
    溶解作業開始−吹立て−に先立って、ベットコークスの積込みと原材料の装入作業がある。
    1. やわらかい薪を下に、かたい薪を上にして、井桁に積み、下から順次燃え易いようにする
    2. 羽口は全部開いて置く
    3. 点火口より油布に火をつけて点火する
    4. キュポラの送風開始前3〜4時間前に点火する
    5. 薪に火がつき燃え上がったときベットコークスの一部を火炎が見えなくなるまで装入する
    6. コークスから火炎が再び上り始めたら、コークスを再び装入し、数回行なって、所定の高さにする
    7. ベットコークス高さ測定具にて調べる
    8. ベットコークスには、大塊の粒を揃えて使用する
    9. ヘットコークスの高さは、炉径の1.5〜2倍−羽口面に於いて−ぐらい必要で低過ぎると、溶湯の酸化を助長するので小炉は、高目に入れた方がよい
    10. 地金装入する前2〜3分間炉内に空気を送って清掃するとよい、所謂空吹きを行なって、炉内から灰を吹き飛ばす。
    11. 空吹き後、羽口から鉄棒で炉内をつきベットコークスの空洞をなくして落付かせる
    12. 空吹き後、出湯口及予備出湯口を閉じる。その閉鎖の際注意することは、第10図に示すように、奥の方だけ黒鉛を水で、練ったものを細い棒で結め、乾いた砂を押し込んで置く。

      第10図出湯口の止め方

    地金の装入

    1. 空吹き後ベットコークスの高さを調節し、装入開始までの時間が長いときは、更にベットコークスの高さを調節する
    2. 配湯量、順序を造型責任者と再確認した上、石灰石、地金、コークスの順に装入口まで積込む
    3. 造型作業のカブセマへの時間がかかるような場合は、地金を装入するのを待つ
    4. 初めの1〜3山は、小割のものを装入するようにする
    5. 一番大切なことは、材料の秤量を正確にやることで、溶解の前には、秤を点検するだけの心掛けが必要です
    6. 石灰石は、炉の中心に入れるようにする
    7. 合金鉄に於ても中心に平均に入れる
    8. 送風機のダンバーは、完全に閉ざして置く、炉内ガスの逆流に依って送風機内や送風管で爆発の危険があるから、充分注意しなければならない。
  3. 装入方法
    1. 装入順序
      地金の装入は、次の順序にする
      コークス−>石灰石−>合金鉄−>鉄屑−>故銑・返り材−>新銑
    2. 作業上の注意
      1. 装入材料は、正確に秤量する
      2. 毎回装入の終わりには、常に同じもの(例えば、コークスは地金)があるように決めて置くこと
      3. 装入物が、炉内の一方にかたよらないようにすること
      4. 石灰石は、最後の2〜3山は、入れないでもよい
      5. 操業の終わり近くの2山は、細い材料を入れない
      6. 吹き分けの必要がある場合には3山分のコークスを余分にいれる。ついで挿入材料を指定通り入れる
      7. 吹き分け前の2〜3山は、小片の地金を入れて早めに溶け落ちるようにして、転換してからの1〜2山は重くね、ヅングリしたものを挿入し妖怪速度を遅らせる。
      8. 2種類の地金の間の1〜2山分のコークスは、小塊のものを使用する
  4. 溶融温度
    鋳鉄の溶解温度は、1150゚Cから始って、1200〜1250゚Cで終わるわけですが、銹つまり酸化した鉄がありますと、その酸化鉄の溶融点は、1400〜1500゚Cもあります。ですから、もし酸化鉄が厚く固くはりついているとすると、これに包まれた状態で溶融が始まるわけで、酸化鉄は、酸素の供給源ですからとけて行く溶湯の中に酸素が入り易いことになります。こうした現象で溶湯の酸化が起るものと思われます。
  5. 溶解速度
    鋳鉄が、コークスの燃焼に依って、溶けて行くわけですが、羽口から入った酸素とコークスの反応は、誰でもご承知のように、
    O2+C=CO2+8080kcal/kg.....(1)
    CO2ガスを発生して、発熱反応を起します。kg当たりというのは、炭素1kg当たりの発熱量(キロカロリー)を示して居ります。この反応に依って炉内は、千数百度の高温になって次に、
    CO2+C=2CO−3265kcal/kg.....(2)
    このような反応が起ります。だんだんガスが炉の上の方に行って温度が下がって来ますと、つまり1000゚C以下になりますと、(2)の反応は起りませんので、反応が途中で停止の状態で炉項に吹き抜けて終わることになります。
    さて、溶解速度は、その炉に依って単位時間当たりの溶解量は違いますが、早くてもいけないし遅くてもいけません。と申しますのは、その溶解作業が管理されていないからです。そこで、送風量が、多い場合と少ない場合について、検討してみましょう。
    1. 過剰に送風致しますと、羽口直上の燃焼は、前記(1)式の反応が起って、一時的には、出湯温度は、上がりますが、やがてコークス床を補充する追込みコークスが、不足して、溶解帯が、下がって来ます。しかし、風が強く送られていますから、発熱が盛んで溶解速度は早くなります。ところが、溶解部分が低下しているために、溶湯の落下する距離が短いので、出て来る湯は温度が下がっており、湯が酸化してしまう。
    2. 今後、過少送風したらどうかと申しますと、(1)の反応もある程度起りますが、
      C+1/2O2=CO
      のような不完全燃焼の反応が起って発熱量が不足して来ますから、その地金の受ける熱量も足りなく、溶解速度、出頭温度共に下がって来ます。CO雰囲気の中で溶けますが低温出頭のため、脱酸が不充分で、これまた酸素気味の溶湯となります。このようにコークス比と送風量がマッチしませんと、溶湯酸化の原因ともなり、溶解速度も一定になりません。
  6. 出頭及出滓
    1. フロントスラッグングに依りスラグを分離した溶湯は前炉に溜められる。出湯後、接種を行ない鋳鉄の材質の改良が行なわれる。もっともその溶湯が、低炭素低珪素の素湯ほど大きな効果がある。一般には次の通りである。

      3.5% 接種することは少ない(註1)
      3.25% 相当接種が行われる
      3.0% 接種するのが普通
      2.25% 接種しなければならない

      (註1)ダクタイル鋳鉄製造の際の湯は、高炭素であるが、球状化の前に行われる。これは、グラファイトの数を増やすために行われるものである。出湯温度は、普通鋳鉄で、1480〜1500゚C程度の温度が目標であろう。溶融温度の項で申し上げたように、出湯温度は、送風量の多少、コークス化、コークスや地金の大きさなどに依って左右される。

    2. 出滓
      流出される滓については、その流動性、色、流出状況等を観察する必要がある。スラグの性状だけで、炉況を判断することは、避けたいが、一つの目安として考えることはよい。一般に炉況が、安定しているときには、その色は、普通つやのある褐色又は緑色であれば、良好と考えられ、黒色のものは酸化の傾向にある。又流動性が、悪い場合には、炉内温度の降下が考えられる。


第5節 溶解用原材料の種類及び使用法

  1. コークス
  2. 地金類
  3. 鉄合金等の添加物
  4. 石灰石
  1. コークス
    キュポラ操業で高温溶解を行なうには、何といっても品質のよいコークスを使用することが必要である。それでは、どんなコークスがよいか。第3表に示します。

    第3表コークスの性質
    固定炭素 灰分 揮発分 全硫黄 落下強度
    >88 >10 <1.5 >0.65 >85

    又コークスの粒の大小に依って、炉内に於ける反応が違って来るが、その状態を第11図に示す。
    第11図炉内のコークス粒度に依る影響
    第11図で解るように、コークスが小さすぎると、ガスと接触する面積が大きいので、炉の下部で酸化反応が活発に行われて、溶融温度の項でもご説明したように、発熱反応が起き、つづいてCO2−>COへの還元反応が起る。炭素1kg当たり3265kcalの熱量が減らせられて上部は非常に低い温度となる
    コークスが過大になると、集中的に発熱が起らず、還元反応も行なわれ難いので、炉内雰囲気は上部の方まで、COガスが多くなって来る。
    コークスは、ベットコークスと追込み用コークスとして使用され、ベットコークスの方は、大きめに使用するようにすることは、溶解準備作業の項で述べた通りである。追込みコークスの割合をいい、送風量とともに溶解には欠くべからざる条件になって来ます。
    第4表にコークス比と送風量の一例を示します

    第4図コークス比と送風量
    材質 出湯温度 鋼材配合率 コークス比 送風量
    FC15 1440〜1470 0 9〜11 (V/A)
    FC20 1460〜1490 15〜30 10〜13  
    FC25 1480〜1510 30〜50 13〜15 95〜110
    FC30 1510〜1540 50〜60 15〜18 115〜130
    FC35 1520〜1550 60〜80 17〜20 130〜150

  2. 地金 装入地金は、銑鉄、返り材及鋼材である。
    1. 銑鉄
      銘柄のはっきりしたもの素性のわかっているものを使用すべきである。後になって、配合計算をする際に、困らないようにする、又キュポラの大きさに依って、新銑を小割にする。第5表にその例を示す。
      ダクタイル鋳鉄用には、ダクタイル用銑があるが、一般の鋳物用高炉銑を第6表に示す。

      第5表新銑の割り方
      キュポラの内径 割り方
      <550m/m 4ツ割
      >550m/m 2ツ割
      第6表鋳物用高炉銑の化学組成一例
      種別 Si Mn Cu
      室蘭銑 4.08
      4.06
      1.84
      2.02
      0.57
      0.61
      0.136
      0.130
      0.018
      0.027
      00.
      0.05
      釜石銑 4.26
      4.16
      1.86
      2.01
      0.62
      0.58
      0.115
      0.148
      0.032
      0.028
      0.13
      0.11
      八幡銑 4.13
      4.26
      1.98
      1.97
      0.60
      0.44
      0.286
      0.226
      0.033
      0.022
      0.10
      0.07
      尼鉄銑 4.12
      4.32
      2.12
      1.87
      0.60
      0.54
      0.137
      0.135
      0.028
      0.035
      0.19
      0.18
      中山銑 4.41
      4.49
      2.56
      2.36
      0.50
      0.61
      0.145
      0.136
      0.015
      0.018
      -
      -

    2. 戻り材
      砂やゴミ、錆などをとって、ほぼ同じ大きさにしてから使用する。普通鋳物なら、細かいものでもよいが、強靭鋳鉄には、使用しないこと、又ダクタイル鋳物も併用してやっている場合は、材料の管理をしっかりやって置かないととんでもない溶解をやって終えることがある。返り材の大きさ及び重量の標準を第7表にかかげる炉の大きさによって変えなければいけない。

      第7表返り材の大きさ
      キュポラの内容 大きさ(タテヨコ) 重量kg
      500〜750 200×100 <10
      750〜1000 250×150 <20
      1000〜1250 300×200 <40

    3. 鋼材
      錆びたものや土などの多いもの、鉄線、薄板、特殊鋼は、避けるべきである。戻り材と同じように大きさに制限があるので、第8表にかかげます。

      第8表鋼材の形状
      キュポラの内径 長さmm 巾mm 厚さmm 径中 重量
      500〜750 50〜150 20〜80 3〜20 - 0.1〜4
      50〜150 - - 5〜30
      750〜1000 75〜200 25〜100 3〜35 - 0.2〜10
      75〜200 - - 10〜50
      1000〜1250 100〜 30〜150 3〜50 - 0.2〜15
      100〜300 - - 10〜80

      第9表鋼材の化学成分
      Si Mn Cr Cu
      0.1〜0.3 0.1〜0.4 0.4〜0.8 <0.05 <0.05 <0.1 <0.1
  3. 合金鉄
    合金鉄は、一般には、フエロシリコン(FSi)フエロマンガン(FMn)を炉項から添加するがこの外、接種(イノキュレーション)用としては、フエロシリコン、カルシウシリコン(Ca−Si)が使用される。その他の合金鉄、例えば、アシキュラー鋳鉄などを製造する場合にはFCr、FNiFMoなどが必要に応じて用いられる。一般に使用されいる合金鉄の種類と大きさを第10表に示す

    第10表合金鉄の種類と大きさ
    用途 種類 粒度mm
    炉項添加用 フエロシリコン2号、3号
    高炭素フエロマンガン1・2号
    20〜70
    接種用 フエロシリコン2号
    カルシウムシリコン1・2号
    2〜4

  4. 石灰石
    石灰石は、造滓材として使用され、コークスの灰分、地金についた錆、又裏張り材料などから生じたスラグの溶融点を下げ、流動性のよいスラグとして出滓されるのが主目的である。20〜40m/mぐらいのものを用いる。4%位装入さめるのが普通、しかし、スラグの堅い場合つまり流動性の悪い場合には螢石を用いる、青い透明なものがよい。組成は、弗化カルシウム(CaF)である。配合例としては、
    石灰石 4%(20〜40m/m)
    螢石 1%(40〜60m/m)
    カルシュウムカーバイト塊 1%(50〜70m/m)

    などがある。

  5. 一山の装入重量の決め方
    前記の溶解用装入材料をそれなら、一回にどれだけ入れたらよいか、を炉に依って決めなければならない。日本強靭鋳鉄協会並びに日本鋳物協会では、コークス層の厚さを160m/m〜180m/mと決め、コークス比に依って、地金一山の重量を決めるようにしている。
    条件としては
    1. キュポラの内径amm
    2. コークス層の厚さbmm
    3. 追込みコークス比c%
    4. コークスのカサ比重0.55とすると
      (a/2)2×π×b×0.55
      これは、コークス層一層の重量である。このコークス量に対する地金の重量はコークス比C%であるから
      (a/2)2×π×b×0.55
      ―――――――――――――
      C/100

      となる。今、内径900m/m(=a)180m/m=bとすると、コークス比16%として、一山の重量は、437kg(地金)70kg(コークス)となる。実際には、この数字の前後を採用して、現場的にやり易い数字を選んで行けばよい。

ページ上へ


第6節 鋳鉄の原料の配合について知っていること

鋳物の性質の基本は、その成分組成に依って決るものですから、その目標成分を決めることが、まず大切で、次に誤った溶解をやらないように注意しなければならない。鋳鉄の性質を変える最も大切な元素は、CとSiであって、肉薄のものは、Scを高めにとり、肉厚のものは、低めにとるようにして、C及Siの適用範囲内で決めるようにする。又目標成分に合わせて地金を選ぶわけですが、溶解中に減ったり増えたりするので、これも計算に見込んで決めねばなりません。Cの高い配合のときは減少し、低い配合の場合は、コークスからCが供給されて増加します。又SiとMnは、同じように減少しますが、Siは溶解温度が高くなるにつれて、減少率は少なくなり、Mnは、0.6%以上になるように考えるべきでしょう。但しダクタイル鋳鉄の場合、特に0.2〜0.4%程度に挿える場合もあります。Pは、大体原材料のままとし、延びを必要とする場合には0.5%以下とすべきでしょう。Sは出来るだけ少ない方がよいが一般には0.7〜12%程度でダクタイル鋳鉄の場合は0.03%以下に脱硫しなければならない。しかしコークス比を増すと、コークス中の硫黄が吸収され勝ちになりSは増加して来ます。

  1. 材質を左右する炭素、珪素量 第11表にその標準値を揚げます

    第11表炭素、珪素量及びSc値
    成分 FC10 FC15 FC20 FC25 FC30 FC35
    C% 3.6〜3.9 3.5〜3.8 3.3〜3.6 3.2〜3.4 3.1〜3.3 3.0〜3.2
    Si% 1.8〜2.5 1.7〜2.4 1.7〜2.3 1.6〜2.2 1.5〜2.0 1.4〜1.8
    Sc 1.00〜1.10 0.97〜1.05 0.92〜1.00 0.87〜0.90 0.82〜0.90 0.77〜0.85

    (註) SC= T・C%
    ――――――――――――
    4.23−Si%/3.2

  2. 配合列
    FC25の材質がよく使用されているので、これを例にとりますと、まずこの目標の成分はどう決めるか、これは標準によって大体きめます。
    C3.3%
    Si2.0%
    Mn0.7%
    この成分を得るために、銑鉄、返り材、鋼屑等の比率をきめようというわけです、さて、SiやMnはこれ等の地金では、不足ですので(−)また、ダクタイル鋳鉄溶解には、低Siの溶湯になるよう始めに配合し、後になってFSiで、Siを添加する場合もありますが(−)FSi、FMnなどの合金鉄を添加して目標成分にさせるので、まず炭素Cを決めることです。そこで鋼屑はCが0.1〜0.3%ということなので、まずFC25なら第12表から、鉄屑はいくらがよろしいかというと、40%の平均配合率になっていますから今、

      Si Mn
    銑鉄 4% 1.6% 0.5%
    返り材 3.4% 1.8% 0.6%
    鋼屑 0.2 0.2 0.6

    という分析値であった場合、銑鉄をX%返り材をY%量配合すると
    4X+3.4Y+0.2×0.4=2.35
    X+Y+0.4=1
    これを解くと、X=0.38、Y=0.22これで、銑鉄と返り材の割合が決まったわけで、実際作業では、端数の秤量看貫は大変ですから、40:20の如くに決めて行ないます。

    第12表鋼材配合率
    鋳鉄の種類 FC15 FC20 FC25 FC30 FC35
    配合率% 0 15〜30 30〜50 56〜60 60〜80

  3. 合金鉄
    の添加 地金に含まれるSiやMnでは、目標の成分にならない上に、Mnは、MnSとして、MnOとして、減耗しますから、これをたしてやらねばならず、このために合金鉄として、FMn、FSiを添加してやるわけです。これ等合金鉄中に含まれるMn、Siの量は、色々メーカーに依って違いがありますが、75%程度のものが多く市販されています。
    先に地金のSi%は、銑鉄、返り材、鉄屑で各々1.6%、1.8%、0.2%ですから
    1.6×0.4+1.8×0.2+0.2×0.4=1.08%
    となり、FC25の場合、Si%は2%目標に対してSiの減耗率を10%と見做すと
    2/1−0.1=2.23%
    となるから、2.22−1.08=1.14%だけFSiで、補う必要がある。そこで
    1.14
    ―――――――
    0.75×0.9
    ≒1.7%

    となり、75%不留まりのFSiを1.7%装入しなければならない。Mnについても同様である。

  4. 成分変化量の標準 鋳鉄の成分は、
    イ、炉内の雰囲気
    ロ、装入地金の性状
    ハ、キュポラ操業条件
    などに依って、一定ではないことを既に申述べているが、その標準というものがあるので、これを第13表及び第14表に示す。

    第13表炭素量の変化
    鋼材配
    合率%
    配合地金の
    炭素量%
    熔湯の炭素量%
    1430゚C 1480゚C 1530゚C
    20 3.0 3.1 3.3 3.5
    40 2.3 - 3.1 3.3
    60 1.6 - 2.9 3.1
    80 0.9 - 2.7 3.0
    第14表成分変化
      普通鋳鉄 強靭鋳鉄
    Si減耗率 -15〜25 -5〜15
    Mn〃 -20〜30 -15〜25
    P 殆ど増減なし 殆ど増減なし
    S +0.01〜0.03 +0.03〜0.06
    出湯温度 1440〜1490゚C 1520〜1550゚C
    コークス比 9〜15 16〜20

    先に高炭素配合の場合は減少し低炭素配合の場合は、コークスから炭素が供給されて増加すると述べましたが、その割合は第15表の如くで、目安として知っててください。

    第15表材質による加炭率
    材質 FC20 FC25 FC30 FC35
    Cの増加率% 0.3〜0.6 0.7〜1.2 1.3〜1.7 1.8〜2.1


第7節 溶湯の温度測定の主なる方法について知っていること

普通溶湯は、光高温計、輻射高温計、熱電高温計などに依って測定される。光高温計、輻射高温計などに依る輻射を利用する高温計と熱電高温計のように熱起電力を利用する高温度とがある訳ですが、この優劣はつけ難い。測定に当たって特に注意しなければならないことは、正確な補正値をあらかじめ出して置くことで、光高温計の読みで1360゚Cであったとした場合、その測定される溶湯が1375゚C以下の場合、真の温度は1404゚C以上の溶湯の場合は、同じ読みで1478゚Cであったとした場合、その測定される溶湯が1375゚C以下の場合、真の温度は1404゚Cとなり、1375゚C以上の溶湯の場合は、同じ読みで1478゚Cが真の温度となる。それではおのおのの高温計の利害点について述べて見よう。

  1. 光高温計の場合
    1. 利点
      イ、消耗品が、少ないので、測定が経済的である。
      ロ、手動で、持運びが、便利なので温度測定がし易い。
      ハ、高温度の測定に便利である
    2. 欠点
      イ、一般に溶湯の表面温度しか測れない。
      ロ、溶湯が酸化していると、表面温度の誤差が大き過ぎる。
      ハ、補正値が正確に出難い、従って、真の温度を求め難い。
      ニ、測定者と溶湯の距離間に於て煙、蒸気などがあると輻射が、減ぜられる。これ等は、光を吸収するからである。
  2. 熱電高温計 熱電対を溶湯中に突込んで、溶湯の温度を測定するこれは二つの異なった金属線を接ぎ、その両端に温度差を与えると、起電力を発生する。この性質を利用したものである。普通キュポラ用温度測定には、白金―白金ロジウム熱電対が最も多く使用されている。この他には、炭素−黒鉛、W−Mo、W−Fe、炭化珪素(シリコンカーバイト)−黒鉛などがあるが
    1. 利点
      イ、特別に電源を必要としない。
      ロ、測定に個人差がない。
      ハ、遠くからの測定が出来自動記録が用意である。
      ニ、煙や蒸気、スラッグなどに影響されない。
    2. 欠点
      イ、熱電対か直接高温に触れるため破損し易い、消耗が大きい。
      ロ、測定指度の時間的な遅れが大きい。
      ハ、冷接点温度の補償が必要。


第8節 チル試験、湯面模様判定等炉前試験法について知っていること

鋳鉄の溶解作業はよい材質のものを安定した状態にて、出湯、鋳湯しなければならない。尚、キュポラの場合には、溶湯が連続的に流れ出て来るので、その操業状況をチェックする意味に於いても極めて重要な事柄である。しかも、時間的に短時間で判定しなければならない。炉前検査の主なものとしては

  1. 湯面模様検査
  2. チル試験法
  3. 湯流れ試験法
  4. 湯もち試験法

などであって、普通は、湯面模様とクサビ型チルテストが行われている。以下、これについて述べよう。

  1. 湯面模様検査

    第10図湯面模様の種類

    溶湯が、冷却して約1400゚C以下になって来ると、溶湯の表面に色々な模様が出来るようになる。そして、1200゚C以下になると、酸化皮膜が厚くなって来るために見られなくなる。したがって現場的には、取鍋にとった湯を更に湯汲みにとり、50φ×50lの鋳型に流し込んで、その表面を見るとよく解る。大体、1360゚C〜1300゚Cの間で判定するのがよい。模様は第10図に示したものが代表的なものであり、その模様に依って溶湯の性状を判断しようというわけです。実際には、溶湯の温度、地金の組成溶解条件に依って可成り違うので、経験を必要とします。したがってその成分範囲もまちまちでありますが、目安となる二三の事例をかがげます。

    第16表湯面模様の出易い成分(例)
    成分\種類 亀甲型 麻の葉形 笹の葉型
    C% 3.38 3.24 3.22
    Si% 1.5〜1.7 1.2〜1.4 1.0〜1.2
    (参考)温度゚C 1,350 1,350 1,350

    1. 亀甲型は
      C及び、Siが高めの場合でC3.2〜3.5%の範囲、模様の小さく数が多い場合は、Siが高めで1.5〜2.0%位である。強靭鋳鉄では、亀甲の出易い範囲は1.6〜2.4%であるといわれている。
    2. 麻の葉型
      C及びSiが亀甲型より%が低くなると現われ易い。一般にはMnが高めの場合(0.7〜0.55%)に出易い。
    3. 笹の葉型
      第16表でも解るようにSiが更に低くなると出易い。比較的溶湯が酸化気味のとき現われる。小さく数の多い場合は、Mnが高めのとき現われる。
      しかしながらこれ等湯面模様の型や大きさは温度に依っても異なり、又冷却途中で亀甲型から笹の葉型に変わる場合もある
      現場に於いて大切なことは、始めの目標成分に対して、配合成分が決められ、これに依り予想され湯面模様を頭の中に予想して居って、これと違った場合には、直ちにチルテストや分析値とチェックして見ることである。
      これを怠っては何もならない。
      (註)Al、Cr、W、Mgが入った溶湯は、このテストは難しい。したがってMg、Alなどで、脱酸処理をした溶湯や酸化溶湯は、湯面模様は、現われないのが通例である。
  2. チル試験法
    普通鋳鉄の溶解で、チルテストと言うと、クサビ試験のように言われるが、最近では、強靭鋳鉄やダクタイル鋳鉄の溶解が普遍化されて、どこの工場でも好むと好まざるに拘らず、強制チルテストが行われている。
    1. クサビ型チルテスト
      日本学振法、ミーハナイト法、ASTM法などがあるが現在ではASTM法に統一されているようである。第11図はそのクサビ型チル試片の模型
      第11図クサビ型模様型

      クサビ番号 Bmm Hmm 長さmm
      W1 25 100
      W2 12 32
      W3 20 38
      W4 32 50 150
      許容誤差 0.8 0.8 3.2

      このクサビ型チルテストは、炭素及珪素が中乃至低元素の鋳鉄に適している。試験片の冷却は、鋳型内で冷却する方がよいが、先端にキレツを生じない程度に冷冷しても差支えない。冷却後、試験の中央部を破断して、Wを測って、チルの大小を調べると同時に、その破面の粗さや均一性はどを観察し、溶湯の性状を察知する。

    2. 強制チルテスト
      これは、A,S,T,M,−B法に依るものであって第12図に試験片の形状を示す。
      第12図強制チル試片寸法
      NO チル深さの
      適用範囲
      1C 4.8 6.4 3.2 31.8 63.5 19.1 12.7 0.8 2.4〜9.5
      2C 6.4 7.9 4.8 38.1 76.2 22.2 12.7 0.8 3.2〜12.7
      3C 9.5 11.1 7.9 44.5 88.9 22.2 12.7 1.6 4.8〜19.1
      4C 12.7 12.7 11.1 50.8 114.3 25.4 15.9 1.6 6.4〜25.4
      5C 19.1 20.6 17.5 63.5 139.7 25.4 15.9 2.4 9.1〜50.8

      この冷却方法は、試片の先端B部にチルプレートを当て強制チルさせ、その断面のチル部を削る。
      その方法は、

      1. チルプレートは、酸化したり汚れたりしてはいけない。
      2. チルプレートは、310゚C以下に保つように水冷する。
      3. 破面に表はわたチルは、化学成分溶解状態、効種効果、合金元素の存在などが、全般的に表われるものであるから充分に観察すべきである。
        又、1Cや2Cなどは、極く軟らかい湯によくFC25やFC30の溶湯には、3Cや4Cの法がよい。この場合、水冷式冷まし金を用いる方がよい。

      第13図は、チルの深さとSi%を示したものである。この試片は、4Cに依るものでこの際C%については余り変わりがない。
      円筒金型試片を第14図に示すが、この円筒金型テストは、溶銑湧出度1〜7に分類されて、その上部表面の湯の湧き出し具合に依ってテストするものである。
      (チル深さ)=1.51X+3.046
      Xは、湧出度のチル番号で、この判定に依って、チルの深さを算出する。
      第15図は湧出度を示す。
      第16図には、内筒試験法に依って、調べた涌出状況に対するチルの深さ及成分を示す一例である。

      第13図チルの深さとSi%

      Aは、C%3.25〜3.3%Bは、C%3.05〜3.1%
      第15図チル番号の分類

      第16図涌出状況(例)
      チルの
      深さ4


      12
      C=3.3 C=3.2 C=3.0
      Si=2.2 Si=1.8 Si=1.2
  3. 湯流れ試験法
    湯流れが悪いために、湯廻り不良を起すようなことがあるが、現場で溶湯の湯回りの良否を判定する方法として湯流れテストを行なう。渦巻型テストがあるが、前者は、鋳型の製作に手間がかかるので最近は後者が多く使われている。
    第17図はその模型で、第18図は鋳込温度に依る湯流れの変化を示している。又その際の溶湯の化学成分は、第17表に示す。(第17図、18図、第17表差込み)
  4. 湯持ち試験法及迅速測定法
    一定の鋳型に溶湯を鋳込んで、その凝固までの時間を測定し。溶湯の性質を知るために、溶湯の性質を知るために、炉前で行う。更に、白金−白金ロジウム熱電対に依り、溶湯温度を測定し、冷却曲線をとって、共晶点(C:4.3%)よりの距離に依って、C%を算出することが出来る。
ページ上へ

鋳物辞典トップ球状黒鉛鋳鉄品 JISG5502について鋳造作業法について材料についてサントクHOME