鋳物辞典【鋳造作業法について】

第16章 溶解に起因する欠陥


鋳物辞典トップへ

第1節 主として溶解に起因する欠陥

鋳物の不良原因というものが、単独にこれは鋳造法案が悪いとか、鋳込温度が低すぎるとか、溶湯が酸化しているとか、一概に決め難いものであって、したがって溶解に原因があると同時に、方案にも不適当であるという場合が多々あり、溶解に起因する欠陥というものが他の原因に依ることもある。

  1. ピンホール
    鋳物砂の水分が多すぎたり、通気度が悪かったりガス抜きが不充分であったりする原因もあるが、溶湯そのものが酸化溶解をしたり、銹びすぎた地金を使用したりして、多くのガスを含んでいる場合に起こる。又このピンホールは、鋳込温度が低く、流動性が悪い場合、鋳込に際して湯があばれて流入するような場合にも起る溶解の立場からすると絶対に酸化溶解をやらないことである。つまり、過剰の送風をやらないで、地金も銹い過ぎたものを使わず、コークス比を選んで高温溶解をやればよい。
  2. 引け巣
    セキや揚りが不適当であって、又は不充分で凝固に対して、正常でない場合、C、Si量が適当でなかったりする場合などにも起るが、大きな原因はやはり何といっても酸化溶解、特に低温酸化溶解に起因する場合が多い、高温溶解をした場合20kg/cm2の水圧に対して、5%不良30kg/cm2〜80kg/cm2の水圧に対して、28%不良率を示すが低温溶解では
    20kg/cm2に対して 40%
    30〃 51%
    40〃 57%
    60〃 65%
    80〃 68%

    のように、水圧が高くなればなるほど不良率が多くなっている。一例ではあるが、いかに高温溶解が必要であるかが伺われる。

  3. ワレ
    鋳物の肉厚が不均一で冷却速度が大変違う場合に生じたり、中子や砂のつきかためが硬く強度が、大きい場合にも生ずるが、溶解という面から見ると成分や溶解が適当でない場合に起る収縮が大きすぎたり酸化溶解する場合に外引けと同時に亀裂が起る。
    このほかに溶解に起因する欠陥としては、表4ねずみ鋳鉄鋳物の欠陥原因一覧表を参考にすること。
表4ねずみ鋳鉄鋳物の欠陥原因一覧表
欠陥\鋳造作業因子 設計 模型 鋳枠と
その装飾
湯口
方案
中子 造型
地金
成分
溶解
鋳込
その
各欠陥の原因になる
鋳造作業因子の数
ガス吹かれ   * * * * * * 10
不回り傷、継目、挿し板 11
たまがね     * *       6
収縮巣         7
熱間き裂と割れ * * 11
材質硬化           * 6
硬化部、チル部 11
鋳ひずみ 11
粗晶組織       * 8
湯回り不良と湯境 11
介在物     *   8
飛ばされと洗われ     * *       6
すくわれ(侵食による)     * * *       6
すくわれ(型の膨張による)   *     8
押込み   *   *     * 7
型落ち * *   *     * 8
しみつき * *         7
あれ肌     9
さし込み * * *   *   9
融着       * *       5
型張り * *       8
ずれ *           6
中子浮かされ   *     * 8
型込めずれ   *   *         5
中子による欠陥               4
湯もれ       8
破損鋳物                   2
逆チル                 3
入れぼし                     1
キッシュ                   2
試験棒不良                     1
各鋳造作業因子により
生ずる欠陥の数
19 19 19 22 22 22 24 13 12 25 15 15

注:主要因、○比較的少ない原因

ページ上へ

鋳物辞典トップ球状黒鉛鋳鉄品 JISG5502について鋳造作業法について材料についてサントクHOME